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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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パラグラフを論理的につなぐ
 パラグラフで文章を書くにあたり難しいのは、パラグラフとパラグラフを論理的につなぐことである。これが難しいのは、パラグラフの接続より、隣接している文の接続に目が行ってしまうからである。しかし、この接続ができないと、文章の論理性が大幅に下がる。

 パラグラフ間の接続の難しさを、「反事実的思考力」(大竹文雄
 https://note.mu/fohtake/n/n0591a20d8458)というネット記事から引用して説明しよう。大竹氏は、この記事の中で、「社会科学を学ぶ過程では、反事実的思考ができるように訓練を積む。しかし、そのような能力を身につけるのは、なかなか難しい。」と述べた後、次のように説明している。

---引用---
 「仮に、大学の授業料が全額税金で負担されて無償だったとしたら、大学教育授業料の負担のあり方や税金についてのあなたの価値観は今と異なっていただろうか」。この質問は、「オイコノミア」という経済学教養番組の収録で、若い一般の出演者が別の一般の人から受けた質問だった。この質問を受けた方は、うまく反事実的思考ができずに答えていた。そこで、「こういう条件だけを変えて考えてみて下さい」とヒントを出した。その議論を聞いていた番組の出演者である芸人で作家の又吉直樹さんが、「経験したことがないことを想像することは難しいですよね」と助け船を出してくれた。

 小説家でもある又吉さんは、人物の気持ちや行動を自分が経験したことがないことでも想像力で作り上げていくという作業を続けているので、その難しさをよく理解しているのだろう。また、お笑いのネタを考える上でも、仮にこのようなことを言えば、人々の予想と少しずれるので笑いが生じるはずだ、ということを常に考えているので、そうした能力が鍛えられているのだろう。よく人の気持ちを考えられる人になりなさい、という親や教師は言うけれど、自分がその立場だったらどう考えるか、ということは、反事実的思考そのものだ。
---引用---

 この2つのパラグラフが、論理的に接続されていない。前半のパラグラフのポイントは、反事実的思考の具体例の紹介だ。一方、後半のパラグラフは、又吉直樹さんに対するコメントになってしまっている。その結果、反事実的思考が難しいという全体の論旨から外れて論理性が失われている。

 この2つのパラグラフを論理的に接続するには、後半のパラグラフを「この例でいえば、」のように始めなければならない。つまり前のパラグラフのポイント(=先頭文)を受けて、次のパラグラフを始めるのだ。この接続ができると、論理的な展開になる。

 なぜ、この接続ができないかというと、書き手は後半のパラグラフを始めるときに、前のパラグラフの終わりを意識してしまうからだ。つまり、前のパラグラフの最後の方の文と、次のパラグラフの最初の文をつないでしまう。しかし、前のパラグラフの先頭に書いた、前のパラグラフのポイントを忘れているのだ。

 パラグラフの中なら、隣接する文と文をつなぐ。しかし、パラグラフ間は、隣接するパラグラフの先頭文をつなぐのだ。
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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