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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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考察の書き方
昨日紹介した考察の書き方、特に以下の説明について、より具体的に検討を加えます。

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 例として、AとBに相関関係を見いだした論文で説明します。AとBに相関関係があることは結果(データおよびその加工)です。「Aする人は、Cなので、Bする傾向が高い」が結論、つまり結果が何を意味するかです。しかし、「Cなので」とは言い切れません。「Dなので」という理由も考えられます。相関関係から因果関係を導くには、第3の因子の排除や因果逆転の可能性の排除も必要です(ここでは説明省略)。相関関係から、思いつきのように因果を導いてはいけません。
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 具体例として、朝食摂取と学力の関係で検討します。
Research Question:朝食を食べるかどうかは、学力に影響を及ぼすのか
仮説:朝食を食べると、脳の活動が活性化されるので勉強に集中できる。その結果、学力が向上する。
結論:仮説は正しい

 朝食摂取と学力の間には相関関係があります(下図参照)。引用は農林水産省のホームページ(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/mezamasi/about/databox.html)です(現在、この図は削除されている)

 しかし、この相関関係(=結果)から、仮説(=結論)は論証できません。つまり、「朝食を食べると、脳の活動が活性化されるので勉強に集中できる。その結果、学力が向上する。」とは言えません。なぜなら、「朝食を食べる」と「学力が向上する」を結びつける理由が、「脳の活動が活性化されるので勉強に集中できる」以外に考えられるからです。

 この相関関係から、仮説を論証するには第3の因子を排除しなければなりません。第3の因子とは、相関関係のある2つの事象それぞれに、因果と相関を持つ可能性のある事象です。この第3の因子があると、因果のない2つの事象に相関関係が見えてしまいます。第3の因子を排除して初めて、相関関係のある2つの事象に因果関係があると認められます。

 今回の例では、第3の因子1として、「親の育児熱心度」が考えられます。親が育児熱心なので、朝食をしっかり準備する。親が育児熱心なので、家庭学習もしっかりやる。こうなると、「朝食を食べる」と「学力が向上する」に因果関係はなくても、この2つの事象に相関関係が見えてしまいます。

 また、第3の因子2として、「睡眠時間」が考えられます。睡眠不足だから、朝食を食べる時間を惜しんで寝る。睡眠不足だから、授業を聞いていられない。こうなると、「朝食を食べる」と「学力が向上する」に因果関係はなくても、この2つの事象に相関関係が見えてしまいます。

 そこで、この第3の因子を排除したデータが必要です。たとえば、「親の育児熱心度」と「朝食の準備」には相関関係がないというデータです。「親の育児熱心度」と「家庭学習」には相関関係がないというデータです。「睡眠時間」と「朝食を食べる」には相関関係がないというデータです。「睡眠時間」と「授業態度」には相関関係がないというデータです。

 考察では、朝食摂取と学力の相関関係を示すデータと、第3の因子を排除したデータで仮説を論証していきます。つまり、朝食摂取と学力の相関関係を示すデータで、この2つの事象に因果関係がある可能性を示します。次に、第3の因子を排除したデータで、「朝食を食べると、脳の活動が活性化されるので勉強に集中できる。その結果、学力が向上する。」以外の因果関係をつぶします。その結果、仮説が論証できたと説明するのです。この説明が、「結果が何を意味するかの考えを述べる」ということです。

 ということは、データをとるときには、考察でどう論証するかも、あらかじめ考慮しなければなりません。朝食摂取と学力の相関関係を示すデータだけをとったのでは、後で考察ができません。考察のことを考えると、第3の因子を排除したデータも同時にとっておく必要があります。論文を書き始めてからでは、もはやデータはとれないことが多いです。

 ちなみに、私は、「朝食を食べると、脳の活動が活性化されるので勉強に集中できる。その結果、学力が向上する。」なんてこれっぱかりも思っていません。この、朝食摂取と学力の相関関係から間違った因果関係を導き出すことは、論理的思考を深く勉強した人であれば、どこかで目にしたことのある話です。しかし、未だにこの間違った因果関係が主張され続けています。ちなみに、私の子供たちが通った学校でも、この間違った因果関係から「朝食を食べさせてから登校させてください」と言われました。

朝食と学力
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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