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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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考察とは
 考察は、結果から結論を導く(=論証する)パートです。つまり、この結果を持って、なぜ、この結論を導き出せるかを論証するパートです。たとえば、相関関係があるという結果から、なぜ、そこに主張するような因果関係があるかを説明するパートです。単に、結論から考えられることを述べるのではなく、その考えを論証するパートです。

 言い換えるなら、Reserch Question に対する答え(=仮説=結論)を、データ(=結果)をもとに論証するパートです。多くの場合、結果から唯一の結論は導けません。結果だけから考えると、複数の結論の可能性が残ります。そこで、考察によって、1つの結論を導くのです。

 例として、新手法が既存手法より優れていると訴える論文で説明します。2つの手法を3つの観点で比較した結果、既存手法が2つの点で優れていたとします。しかし、この2勝1敗という結果から、2勝した側の勝ちという唯一の結論は導けません。内容によっては1勝した側の勝ちという結論もあり得ます。そこで、2勝1敗という結果から、どちらの勝ちかを論証するのが考察です。

 ところが、多くの論文で考察での論証がないのです。結果が何を意味するか(=結論)を一方的に断じて終わりです。なぜ、そう意味するといえるかの論証がないのです。なので結論に対する納得感が弱いです。論証がないので、考察の内容が薄いばかりか、結論と同じになってしまっています。

 例として、AとBに相関関係を見いだした論文で説明します。AとBに相関関係があることは結果(データおよびその加工)です。「Aする人は、Cなので、Bする傾向が高い」が結論、つまり結果が何を意味するかです。しかし、「Cなので」とは言い切れません。「Dなので」という理由も考えられます。相関関係から因果関係を導くには、第3の因子の排除や因果逆転の可能性の排除も必要です(ここでは説明省略)。相関関係から、思いつきのように因果を導いてはいけません。

 ちなみに、技術論文などでは、結果がストレートに結論なので、考察が事実上不要な場合もあります。たとえば、青色発光ダイオードが実現できていなかったとき、材料や手法の工夫で青色に発光するダイオードができたとします。青色に発光するという結果が、そのままこの材料や手法が有効であるという結論です。仮にその材料がいかに高価であろうが、その手法がいかに複雑でコスト高であろうが関係ありません。論証するまでもなく、青色に発光させることが、すべてを凌駕するからです。

 考察に対する誤解が多いのは、考察とは何かを説明する文に問題があると思います。多くの説明で、「結果が何を意味するかの考えを述べる」のように表記されています。この「述べる」がくせ者です。文字どおり、考えだけを述べて終わりにしてしまいます。「結果が何を意味するかの考えを論証する」とすれば、より正しい理解につながるかと思います。
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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