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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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読売新聞社説の解析(4)
 食品ロスに関する、読売新聞の社説(2018.01.09)の分析、4回目。前回検討した論理構成で書き直しをする。

 前回検討した論理構成を、1構成ユニットを1パラグラフに展開する。そこに、総括する総論を最初に、まとめを最後につけると、以下のようになる。細かい解説は次回に。

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 本来食べられる商品が廃棄される「食品ロス」は、日本人の美徳に反するし、社会全体の損失ともなる。無駄の削減には、消費者の「もったいない」という意識と、食品製造業・小売店の商習慣の改革が必要だ。

 家庭や食品製造業・小売店、飲食店での「食品ロス」が問題視されている。食べ忘れ、売れ残り、返品、食べ残しなどによって、多くの食品が破棄されている。国内の食品ロスは、年間約592万トンと推計される(平成26年 農林水産省の調べ)。毎日1人あたり茶わん1杯分の食品が捨てられている計算だ。

 食品ロスは、「もったいない」という日本人の美徳に反する。日本人は昔から、食べ物に対する感謝の意から、無駄にすることを「もったいない」と嫌ってきた。この感謝は、命を捧げてくれた動植物に対してはもちろん、料理になるまでに関わったすべての人の労働に対してだ。いくら裕福だからといって、食べ物を粗末に扱うのは、下品な行為と感じる人は多いはずだ。

 また、食品ロスは、経済的な損失でもある。無駄な廃棄はコストを上昇させるので、企業の経営を圧迫する。あるいは小売価格の上昇を招く。無駄な食品加工、輸送、販売でエネルギーの浪費にもつながってしまう。

 食品ロスの最大の要因は、消費者の食べ残しや食べ忘れだ。家庭内での食べ残しや食べ忘れによる廃棄だけでも、食品ロス全体の48%にもなる。おいしく食べられる期間の賞味期限を、安全に食べられる期間の消費期限と混同しての廃棄も多い。さらに飲食店での食品ロス(全体の20%)の多くは、消費者の食べ残しだ。宴会での食べ残しは、よく見る光景となってしまった。

 次に大きな要因となるのが、食品製造業・小売店での「3分の1ルール」による返品や廃棄だ。「3分の1ルール」とは、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、食品製造会社や卸売業者は小売店に納品できないという、加工食品での商習慣だ。まだ食べられる商品が、廃棄を余儀なくされる。売り場でも、賞味期限まで一定期間を切った商品は撤去される。

 そこで、消費者による食品ロスを減らすために、「もったいない」という美徳をもっとアピールすべきだ。たとえば、公共広告機構のCMを使うのも一つだ。一粒も残さずに食べきったご飯茶碗や、骨だけ残してきれいに食べた魚などを放映するだけでも効果は高いだろう。こういった食べ方を見て「意地汚い」と思ったりはしない。むしろ「自分もそうありたい」と思う人が多いはずだ。

 また、食品製造業・小売店でによる食品ロスを減らすために、業界に残る「3分の1ルール」を見直すべきだ。ここ数年、一部の大手小売りチェーンなどでは、3分の1ルールの見直しが始まっている。保存性の高い菓子や飲料について、納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばすものだ。農林水産、経済産業両省も昨年5月、海外に比べても厳しい3分の1ルールの緩和を業界に要請した。対象品目の拡大を含めて取り組みを加速してほしい。

 手つかずで捨てる食品を減らすよう、消費者と食品製造業・小売店の両方で努力したい。豊かになっても、「もったいない」という美徳は捨てたくはない。
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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