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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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読売新聞社説の解析(2)
 昨日に続き、読売新聞の社説(2018.01.09)を分析する。昨日は主にライティング的な視点だったので、今日は論理的な視点から。

 この記事で、私が最も違和感を感じたのは、「食品ロスの半分近くは、家庭から出ている実態がある」という文だ。食品を最もロスしているのは家庭であることが最後になって述べられている。なお、食品ロスの比率は、下のグラフ(農林水産省のH26のデータを参考に作成)を参考にしてほしい。

 なぜ、家庭に対する対策はほぼ述べず、製造元や卸に対する対策を詳しく述べる?食品ロスを減らすなら、まず、家庭でのロスを減らさなければならないだろう。食品ロスの比率の少ない製造元や卸に対する対策は意味があるのか?製造元や卸における食品ロスの比率を示していないのは、意図的なようにも感じる。

 家庭ではなく製造元や卸に対する対策を述べたのは、最も簡単に効果が上がるからだろう。家庭で食品ロスを減らすよう、家庭外から強制するのは難しい。確実で現実的な解決策は、私には思いつかない。家庭に較べて製造元や卸なら、政府などから通達は可能だ。まずは、簡単で効果の上がる対策からということかと思う。

 であるなら、そう述べておくべきだ。前半では、あたかも「3分の1ルール」を見直すことが、とても有効な手法であるように述べいる。しかし、最後になって、最も大きな食品ロスには手つかず。これでは、読み手を馬鹿にしているようだ。

 「賞味期限の表示を「年月」に切り替える動き」は話がそれている。それまでは、「3分の1ルール」の話をしていたのだ。「3分の1ルール」が、消費者の「鮮度志向」を元にしていることから、「鮮度志向」つながりで、別の話を持ち出している。「3分の1ルールの見直しとともに、賞味期限の表示を…」のように、第2の対策として述べるべきだろう。

 「宴会の最初の30分、最後の10分は着席して食べよう」は意味があるのか?確かに、食品ロスは減る。しかし、積極的に食べたいわけではない料理を、無駄にしないために食べることに意味はあるのか?この行為は、最初に述べた「貴重な資源の浪費」、「企業の経営を圧迫」、「小売価格の上昇」のどれにも対応しない。あえて言えば、「もったいない」という価値観だ。論理ではない。

 食品ロスを論じるとき、「もったいない」という価値観を避けては通れまい。経済だけで論じるのは難しく感じる。特に家庭や飲食産業における顧客(=個人)に対して、「貴重な資源の浪費」、「企業の経営を圧迫」、「小売価格の上昇」を訴えても、食品ロスが減るとは思えない。個人に訴えるには、「もったいない」という価値観の美徳ではなかろうか。


食品ロス
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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