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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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読売新聞社説の解析(1)
 久しぶりに、ロジカルライティングの観点で、文章を分析しよう。対象は、本日(2018.01.09)の読売新聞社説(最後に掲載)。数回にわたる分析の1回目。

 第3段落で、食品ロスによる「資源の浪費」、「経営の圧迫」、「小売価格の上昇」を指摘している。
--- 引用開始 ---
「貴重な資源の浪費であり、企業の経営を圧迫する側面もある。コストがかさむ分、小売価格の上昇を招きかねない。」
--- 引用終了 ---

 この3つが並列なら、なぜ、「資源の浪費」と「経営の圧迫」を1文でつなげ、「小売価格の上昇」は独立した1文なのか?並列なら一般に重要な順だ。重要な2つの文をつなげれば、ともにボケる。最も重要性の低い「小売価格の上昇」は1文なので強調される。「資源の浪費」が1文で、「経営の圧迫」と「小売価格の上昇」がつながって1文なら理解できる。

 この3つは並列ではなく、「経営の圧迫」の理由が「小売価格の上昇」と読むなら、さらにおかしなことになる。「小売価格の上昇」を理由としたいなら、誤解を生まぬよう、「なぜなら」のような接続詞が必要だ。さらに、なぜ、重要性の高い「資源の浪費」は理由を述べず、重要性の低い「経営の圧迫」についてだけ、次の文で補足するのか?

 1文目が、「貴重な資源の浪費であることは言うまでも無く、企業の経営を圧迫する」ならライティング的には理解できる。この場合、「資源の浪費」と「経営の圧迫」は並立ではなくなる。書き手が「経営の圧迫」にフォーカスを置いていることが伝わる。

 しかし、「貴重な資源の浪費であることは言うまでも無く」としても、私は論理的に納得できない。私には、食品ロスが、深刻な「資源の浪費」には思えないからだ。まず、食品ロスを減らしても、その食品が飢えた人々に回るわけではない。となると、この「資源の浪費」とは、食品の原材料を作ったり、食品に加工したり、輸送したりするときの「資源の浪費」だろう。確かに、「資源の浪費」には違いないが、社説で取り上げるほどの膨大な浪費だろうか。

 そこで、わたしなら「もったいないという気持ちは言うまでも無く」とする。この表現なら、「経営の圧迫」にフォーカスを置きつつ、「もったいない」を論証する必要もなくなる。多くの人が、食品ロスを「もったいない」と感じているはずだ。皆が「そう言える」と思っていることは論証する必要が無い。さらに、「もったいない」は価値観なので、論証には向かない。

 論理的な文章を書くときは、1文たりとも油断してはいけない。この文章のように、何気なく「り、」で文をつなげば、ろくに考えずに文章を書いたことがすぐにばれてしまう。

------ 原文 -------
食品ロス削減 過度な「鮮度志向」見直したい

読売新聞 2018年1月9日6時0分

 本来食べられる商品が廃棄される「食品ロス」は、社会全体の損失となる。無駄の削減には、企業と消費者の双方で意識改革が欠かせない。

 売れ残りや返品、食べ残しなどによる国内の食品ロスは、年間約620万トンと推計される。毎日1人あたり茶わん1杯分の食品が捨てられている計算だ。

 貴重な資源の浪費であり、企業の経営を圧迫する側面もある。コストがかさむ分、小売価格の上昇を招きかねない。

 大きな要因とされるのが、加工食品の商慣習である「3分の1ルール」が存続していることだ。

 製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、メーカーや卸売業者は小売店に納品できない。まだ食べられる商品が、廃棄を余儀なくされる仕組みだ。売り場でも、賞味期限まで一定期間を切った商品は撤去される。

 小売業者は消費者の「鮮度志向」を理由に挙げる。しかし、適切な商品知識を普及させることこそ、業界には求められよう。

 賞味期限は、傷みやすい食品に表示される消費期限とは異なる。おいしく食べられる期間のことであり、直ちに捨てなければならない日付というわけではない。

 ここ数年、一部の大手小売りチェーンなどでは、3分の1ルールの見直しが始まっている。保存性の高い菓子や飲料について、納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばすものだ。

 卸からメーカーへの返品や廃棄が減る成果が報告されている。

 農林水産、経済産業両省も昨年5月、海外に比べても厳しい3分の1ルールの緩和を業界に要請した。まだまだ全体には浸透していない。対象品目の拡大を含めて取り組みを加速してほしい。

 メーカー側の努力も要る。需給を見極めた的確な生産計画や、容器の高機能化などによる賞味期限の延長が課題となっている。

 日付単位の賞味期限の表示を「年月」に切り替える動きがみられる。1日でも新しい商品を求めがちな業界や消費者の意識を改める契機になるのではないか。

 外食は大量の食べ残しが問題だ。各地の自治体で「宴会の最初の30分、最後の10分は着席して食べよう」といった呼びかけが始まっている。ゴミ量削減に少なからぬ効果があるという。

 食品ロスの半分近くは、家庭から出ている実態がある。

 少なくとも手つかずで捨てる食品を減らすような消費行動を、一人一人が心がけたい。
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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