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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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議論につながる質問
「グレーター東大塾」に参加している。この塾では、「双方向で活発な議論を期待する」ために、70分の講演後、60分という長いQ&A時間を設けてある。しかし、これがどうもうまく機能しない。

 日本人は、議論する文化がないので、議論につながる質問ができないのだ。議論につながる質問とは、受講者の質問に対して、講演者が回答したら、その回答に対して、さらに受講者が掘り下げた質問をし、また講演者が回答し、となっていく質問だ。例えば以下のようなイメージだ。
 受講者:「Uターン就職希望率が富山県で高いのはなぜですか?」
 講演者:「県がUターン就職支援をしていることと、比較的産産業が発達しているからでしょう」
 受講者:「では、なぜ、富山県と産業規模が同じ程度の他の県は、同じような支援をしないのですか?」
 講演者:「似たような支援を他の県もやっているのですが、富山県ほど効果が無いようです」
 受講者:「ということは、Uターン就職希望率が富山県で高い最大の理由は、就職支援ではないですね。他の要素は考えられませんか?」

 受講者のする質問のすべてが、議論につながらない。いや、質問者は、議論につなげる気が無い。つなげる気が無いので、平気で2つも3つも質問する。議論につなげるなら、質問は1つだ。複数の論点を同時並行で議論するのは、よほど議論慣れしていないと無理だ。議論につなげる気が無いので、講演者が回答したら、それでその話は終わりになる。深まりはしない。

 この講演が、一般的なプレゼンなら、一往復で終わるQ&Aでよい。だから、聞き逃したことや直感的に疑問に感じたことを聴けばよい。一往復だから、すぐに終わる。5分程度しかQ&A時間が無いときには適切なアプローチだ。

 議論につながる質問をするには、質問する側もかなり頭を使わなければならない。たとえば、以下のようなことを事前に考えてから質問することになる。
 ・こう質問したら、こういうことを説明するはずだから、さらにこう質問しよう
 ・もし、講演者が回答を持っていなかったら、自分はこう考えているといって、その考えへの意見を聞こう
 ・自分は、講演者とは異なり、こういう根拠でこう考えている。講演者は、自分の根拠に対して、どういう根拠でどう判断するだろうか。(議論の世界でいう論証型反論の準備)

 60分という長いQ&A時間を設けている意図を考えてほしい。
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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