Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
08 | 2017/09 | 10
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

マツダCX-5の電子取扱説明書(2)
マツダCX-5の電子取扱説明書が、マニュアルコンテストで優秀賞を受賞したらしい。マニュアル作成の専門家(自動車業界の方ではない)から、「どう思いますか?」と聞かれたので、チェックしてみた。その第二弾。引き続き、自動巡航機能の説明の部分から。

 自動巡航機能の説明は、総論に相当する記述から始まる。

 まず、定義を述べた最初の文が長すぎる。見ただけで、読む気が無くなる。説明も不十分。
---引用---
マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール (全車速追従機能付) (MRCC (全車速追従機能付)) は、レーダーセンサー (フロント) が前方車を検知することで、運転者がアクセルペダルやブレーキペダルを踏まなくても、設定した速度での定速走行や、前方車との車間距離を車速に応じて一定に保つ追従走行ができるシステムです。
---引用---

 最初の文は、可能な限り短く述べる。最初の文とは、パラグラフのトピックセンテンスや結論の文だ。このような大事な文は、大事な情報だけで短く述べる。短い文だから、大事な内容がすっと頭に入る。長い文は、人間の短期メモリーの容量を超えるので理解できない。人間の短期メモリーの容量は、7±2といわれている。7±2単語までで1文を終えるのだ。

 だから、この部分は、例えば以下のように述べる。
---修正案---
MRCCは、 設定速度での定速走行や、車間距離を一定に保つ追従走行ができるシステムです。MRCCが、レーダーセンサーで前方車を検知するので、運転者はアクセルペダルやブレーキペダルを踏む必要はありません。前方に車がないときは、速度が設定値に保たれます。前方に車があるときは、車間距離が車速に応じて一定に保たれます。
---修正案---

 上記の定義の文の下にある説明のムービーは、本文で参照すべき。ムービー以外のグラフや表、図解も、必ず本文で参照する。
---修正案---
 MRCCの正確なイメージを理解したい方は、下のムービーをご覧ください(再生するには、ムービー中央の▷をクリックします)。
---修正案---

 定義文とムービーの下に載っている説明(下の引用)も、次の点で不十分だ。
 1.1文が長い
 2.パラグラフのレイアウトを守っていない(1文ごとに改行してある)
 3.各論を十分に反映していない(総論で述べていないことが、各論で長々述べられている)
 
---引用---
また、追従走行時に前方車が急ブレーキをかけたときなど、前方車に接近したときは、警報音と同時にディスプレイに警告を表示し、車間距離を十分確保するようお知らせします。
前方車に追従して停車したときは、自動で停車状態を保持 (停車保持制御) し、運転者がRESスイッチを押すなどの発進操作を行うと、追従走行を再開します。
マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール (全車速追従機能付) (MRCC (全車速追従機能付)) を使用するときは、使用前に次の記載もあわせてお読みください。
---引用---

 各論を十分に反映していないのは、各論の構成が無茶苦茶だからだ。それはまた次回。
スポンサーサイト



プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム