Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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明治大学齋藤孝教授の文章を分析する(3)
 明治大学齋藤孝教授は、自ら「齋藤孝のできると言われる! 仕事の文章力」(ナツメ社)など、文章の書き方に関する本を多数出版しているが、実は論理的な文章を書けません。本人は書ける気でいるのかも知れませんが、まったく書けません。そのことを、齋藤孝著「頭が良くなる議論の技術」(講談社現代新書)の「はじめに」の一部を引用しつつ、複数回に分けて分析する3回目です。

---引用始め---
 自分一人で考えるのではなく、グループでチームとして考える。いわば「チーム思考力」を場においてリードし、向上させていくことのできる力。これが現代のリーダーに求められる重要な条件です。
---引用終わり---

 前のパラグラフとつながりません。前のパラグラフでは、「現代社会で求められる頭の良さは、既存の知識を記憶し再生することのできる学力だけではありません。」と始まっていました。なぜここで、「リーダーに求められる重要な条件」が登場したのか理解できません。「リーダーに求められる重要な条件」=「頭の良さ」といいたいならそう書かなければわかりません。

 1文目は要約文ではありません。このパラグラフは、前のパラグラフとまとめるべきでしょう。おそらく前のパラグラフと合わせて1つのトピックと思われます。そもそもこのパラグラフは短すぎますし。

---引用始め---
 まずは二人の対話からでいい。徹底的に議論を練習することによって、頭が柔軟に機能する習慣が身につきます。論理力もこの対話トレーニングを通して磨かれていきます。
---引用終わり---

 1文目は要約文ではありません。要約文は2文目でしょう。しかし、このパラグラフは、主張ばかりで根拠はありません。なぜ、議論すると、頭が柔軟に機能するのか、論理力が付くのか分かりません。

---引用始め---
 「いい議論をすると、頭が良くなる」ということには、より本質的な根拠があります。それは、「頭が良い」人は弁証法的な対話の構造を身につけているということです。「思考力がある」ということは、一つの視点からだけでなくさまざまな視点からものごとを考えることができるということです。異質な意見や考え方を取り入れることで高次の考えへと発展させていく。矛盾や否定をいわばバネとして思考を上昇させていく。この弁証法的な運動こそ、思考の本質です。
---引用終わり---

 要約文ではありません。要約文は2文目でしょうか。あるいは、「いい議論をすると、異質な意見や考え方をバネとして思考を上昇させていくので頭が良くなる」でしょうか?いずれにしろ、もう少し説明が必要です。

 「弁証法的な対話」の説明が必要です。この言葉で理解できる読者は、ほとんどいないでしょう。難しい言葉でごまかそうとするのは、論理性の低い人のやる常套手法です。

 このパラグラフで述べている「頭が良い」が、先に述べた「頭の良さ」の定義と呼応していません。これはかなり致命的です。「新たな意味を生み出すコミュニケーション力」と「弁証法的な対話の構造」はどうつながるのでしょうか?
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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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