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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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「が、」「り、」「し、」「て、」で文と文をつながない
「が、」「り、」「し、」「て、」で文と文をつないではいけません。

 文と文をつなぐ「が、」を使わないのは、順接と逆接の両方の意味が可能だからです(下記の例参照)。しかも、順接か逆接かは、「が、」以降を読まないと特定できません。それだけわかりにくく、読み手に負担のかかる表現なのです。
 順接:先日、A氏の還暦祝いの会が催されたが、B氏がそこで重大発表をした。(順接)
 逆接:先日、A氏の還暦祝いの会が催されたが、B氏は参加しなかった。(逆説)

 特に、順接の「が、」は使う意味がありません。使わないようにしましょう。私は、「生涯使うまい」と心に誓っているぐらいです。順接の「が、」を使った文は、使わない文に直せるのです(下記参照)
 例:先日、A氏の還暦祝いの会が催された。その会で、B氏は重大発表をした。
 例:先日催されたA氏の還暦祝いの会で、B氏は重大発表をした。

 同様に、「『り、』『し、』『て、』も使うな」と私は指導しています。これらの接続は、ほとんど場合、意味のない接続か、意味を込めた接続だからです。
 例:偽造写真広告は技術の責任でなく、ルール違反行為であって、技術と行為は明確に区別されなければならない。(切ればよいだけの意味のない接続)
 例:偽造写真広告は技術の責任でなく、ルール違反行為であって、技術ではなく行為の規制が必要となる。(原因結果という意味を込めた接続)

 この「『が、』『り、』『し、』『て、』で文と文をつながない」は、「一文一義」や「文を短く」と同意です。「が、」「り、」「し、」「て、」で文と文をつなぐから、一文多義になるのです。あるいは、文が長くなるのです。「一文一義」や「文を短く」のできていないサインが、「が、」「り、」「し、」「て、」なのです。私は、「一文一義」という抽象的なお題目も使います。しかし、より具体的に「『が、』『り、』『し、』『て、』で文と文をつながない」と強調します。

 ちなみに、上記の文章で「が、」「り、」「し、」「て、」で文と文をつないでいるところはありません(例文を除く)。
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神は細部に宿る
 「神は細部に宿る」"God is in the Details" 例で紹介しよう。

 以下は、大学生の学力低下に関する原因分析である(内容はフィクション)
1.高校生の自宅での学習時間が年々減りつつある。
2.大学入試の科目が減って、高校での学習範囲が狭い。
3.大学の単位が簡単に取れるので、入学後に勉強しない。

 この3つの「不揃い」を探してもらうと以下のような指摘が上がる。これらの指摘は、もちろん正しい。
・1,2は高校だが、3は大学(時間の不揃い)
・1,3は勉強量だが、2は勉強範囲(責任主体が学生か、学校か)
・1,2は数値データを示せるが、3は「単位が簡単に取れる」を数値では示せない(定量的か、定性的か)

 私が注目するのは、読点の有無だ。1には読点がないが、2,3には読点がある。このことは、1は2,3に比べて文の構成が違うことを示している。文の構成が違うなら、並列として不十分だ。

 読点の有無をヒントに紐解くと、2,3は原因を2段で分析しているのがわかる。これに比べると、1は分析が浅い。2,3と並列するには、1も「自宅での学習時間が年々減りつつある」原因まで分析しなければならない。そこまでそろえて、初めて正しい並列と言える。

 この違いは、論理性だけではなく、パラグラフの内容に大きな影響を及ぼす。なぜなら、実際の文章は、この3つの文がパラグラフのトピックセンテンスとなるからだ。トピックセンテンスが不十分だと、その後に続くサポートセンテンスに影響が出る。

 この3つの理由が、それぞれパラグラフなら、パラグラフの中に以下のような情報を書くことになるだろう。
1.自宅での学習時間が年々減りつつあることを示すデータ
2.大学入試の科目が減ったことを示すデータと、高校での学習範囲が狭くなったデータ。
3.単位が簡単に取れることを示すデータ(単位が簡単に取れることを証明できれば、大学生が勉強しないのは自明だ)

 その結果、1と3は、学生が勉強しないという同じ指摘なのに、パラグラフの内容が大きく異なってしまう。読点一つないがしろにはできない。

 「神は細部に宿る」


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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