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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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箇条書きは、「等価」の印象を与えるので注意が必要
 箇条書きは読みやすいので、並列した情報を表示するとき、ビジネス文章にはよく使われます。しかし、箇条書きは、「並列した情報に大きな重要性の差が無い」という先入観を読み手に与えることがあるので注意が必要です。

 たとえば、以下のような書き出しで始まる文章を例に考えてみましょう。
『本モジュールは、A,B,Cの3つのサブモジュールで構成されています。
 A:(Aの簡単な説明)
 B:(Bの簡単な説明)
 C:(Cの簡単な説明)』

 このとき、読み手は以下のようなことを無意識に予想して、この後の文章を読むはずです。
・このあとは、A,B,Cの3つのサブモジュールを、より詳しく説明する
・A,B,Cをこの順番で説明する
・A,B,Cは、おおむね同じような位置づけ(重要性)である

 このとき、並列した情報に大きな差があると、読み手の予想が崩れます。たとえば、上記の例で、Aサブモジュールは、数ページに及ぶ説明が書かれていたとしましょう。一方、B,Cサブモジュールの説明が数行で終わっていたらどうでしょう。読み手は、「あれ?」という印象を持つはずです。

 読み手の予想を裏切らないためには、次のような説明が必要です。
『本モジュールは、3つのサブモジュール、特にAサブモジュールを中心にで構成されています。
 A:(Aの簡単な説明)
このメインであるAサブモジュール以外に、B,Cサブモジュールもあります。
 B:(Bの簡単な説明)
 C:(Cの簡単な説明)』

 箇条書きのような羅列は、読み手に「等価」の印象を与えることがあるので、注意が必要です。
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Google翻訳での注意点
 最近、私は英語を指導するとき、日本語をGoogle翻訳で英語に直し、その英語を修正するような指導を取り入れている(それだけではないが)。

 Google翻訳で少しでも英文作成の時間が短縮できれば、それに越したことはない。Google翻訳、昔の自動翻訳と異なり、かなり精度が上がっている。しかも無料だ。これをビジネスに使わない手はない。

 しかし、Google翻訳では不十分なことも多いので、そこを指導する。具体的には、いかのようなポイントだ。
 ・時制の誤り(過去形と現在完了形)
 ・主語の選択の誤り
 ・書き言葉向けの表現への修正

 Google翻訳で、もう一つ大事なことは、日本語を正しく書くことだ。日本語では普通に使う表現でも、実はAIでは理解しきれない表現がある。また、日本語が冗長なら、英語も冗長になる。

 たとえば、以下の日本語と、Google翻訳で作成された英語を考えてみよう。
元の日本語:
「この装置は、赤外線センサーが内蔵されていて、障害物を認識できます。」
Google翻訳の英語
「This unit has an infrared sensor built in, and it can recognize obstacles.」

 Google翻訳は、日本語を正しく読み取れていない。「赤外線センサー内蔵」と「障害物を認識」は、andで接続する情報ではない。前者は手段で、後者は行為だ。手段と行為は、等位(and)接続できない。しかし、日本語では、こういう意味を込めたような表現をよく使う。

 Google翻訳で正しい英語を出すためには、日本語も明確に書かなければならない。先の例でいえば、以下のような日本語なら、そこそこの英語が出てくる。
元の日本語:
「この装置は、内蔵の赤外線センサーを使って、障害物を認識できます。」
Google翻訳の英語
「This unit can recognize obstacles by using built-in infrared sensor.」

 結局、科学が進歩しても、日本語の書けない人は、英語も書けないのだ。
ノートの取り方
 昨年の秋からここまで、15回の講演で33時間の講義を受講して、ノートを1冊書きつぶした。1時間平均で2.5ページになる。基本的には、一番前の中央に座り、「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」でノートをとる。

 私が「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」という表現を知ったのは、宇佐美寛氏の「大学の授業」という本だ。

---引用---
 一見、よくまとまっていると見える要約、まとめ、スローガンは要らない。そんなものはノートに書かなくてもいい。帰宅してノートを整理する時に書きこめば十分だ。具体的で面白い事実、目を低く(視線を低く) するとはじめて見えるような細かい事実、飾らないくだけた言葉……そういう類いの非インテリ的な事柄をノートするのだ。
 そういう目の低い「低級」なことを書くのだから、相当な量を書くことになる。相当な速度でノートをとる。鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さだ。ボールペンの場合は、インクが油性で引火するおそれがある。教室には消火器を置く。…… といった速さだ。
---引用---

 私が、「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」でノートを取り始めたのは、約40年前の高校生時代だ。先に紹介した本に出合うずっと前。あるとき、高校の先生の話すことを片っ端からノートにとってみようと思ってやってみた。このノートをとると、定期テストの点数がグンとよくなったのを覚えている。

 ちなみに、「インクが油性で引火するおそれがある」のは困るので(笑)、私は万年筆を3種類使い分けている。
 ・黒インク:講師の述べたことを記す
 ・青インク:受講生が述べたことを記す
 ・赤インク:自分が感じたことを記す

 書き洩らさないために、略語や記号を多用する。たとえば、頻出するキーワードは略語化する。
 ・スモールステップ  → SS
 ・即時フィードバック → SFB
他にも以下のような記号を使う。
 ・増える or 高まる → ↑(逆もあり)
 ・良い/悪い   → O/X

 宇佐美寛氏は「大学の授業」で、ノートの効果を次のようにも述べている。

---引用---
 自分でノートをとるのは、緊張するためにとるのだ。ノートをとるためには、どうしても話の内容を頭の中で整理しなければならない。内容の構造を考え、どこが大事かを判断しないわけにはいかない。この過程が頭のためになる。考えながら聞く…… これで受身のテープレコーダーのような頭にならずにすむ。
---引用---

 偉そうなことを言ったが、高校時代から40年間、私自身がこういうノートを取り続けてきたわけではない。正直、大学生以降ずっと、怠惰に授業を受けてきた。このノートの取り方を思い出したのは、自らが研修講師として人に指導するようになってからだ。なにしろ、企業研修の受講者のほとんどは、全くノートを取らない。その状態を目にして思い出したのだった。
ノートを取る理由
 早稻田大学エクステンションセンターの「教える技術」(向後千春教授)の全4回に参加した。いつものように、「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」でノートを取る(下図)。ノートを取ることについては以前にも書いたが、また記しておこう。

 ノートを取る理由は2つある。
1.その場でしか得られない情報を記録に残す
2.緊張し、集中して講義を聴く

1.
 ノートには、その場でしか得られない細かな情報を書く。その代表が具体例だ。抽象的な言葉で分かった気になってはいけない。具体例やデータがあるからこそ理解できるのだ。具体例は、著作や配付資料には載っていないので、ノートに取るのだ。神は細部に宿るのだ。

 向後先生が話す、テニスの例こそノートに取るのだ。向後先生はテニスが好きなので、講義の中で、テニスに例えた話が出てくる。テニスの話は雑談ではない。そういう具体的な話が理解を深めるのだ。

 ノートには、まとめやキーワードを書くのではない。そんなことは配付資料や著作に載っている。必要なら、著作を読めばよい。汚い字で書かれたノートを見る必要は無い。ノートにまとめを書こうとするから、ノートに書くことがないのだ。

 具体例など細かな情報をノートに取るので、「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」で書く。何が理解を深める情報かは、その場では分からないので、とりあえず可能な限りノートに書く。話したこと全部をノートには取れないので、取捨選択は必要だ。しかし、全部をノートに取る気合いでペンを走らせる。

2.
 「鉛筆の先から摩擦熱で煙が出る速さ」で書くと、緊張し、集中して講義を聴くことになる。一言も漏らすまいと思うので、一瞬たりとも油断はできない。1.5時間の授業なら、1時間を過ぎたあたりで頭が痛くなる。受講後は、「面白かった」ではダメだ。「疲れた」が正しい。

 緊張し、集中して講義を聴くと、疑問がいろいろ湧いてくる。疑問が湧くのは、理解が深まっている証拠だ。理解できなければ、疑問も生じない。湧いた疑問も、ノートに書いておく。

 と、偉そうなこと書いたが、頭で描いていることと現実にできていることは違う。向後先生が、「自分は、フェデラーのフォームで打っているつもり」とおっしゃったのと同じだ。後で自分のノートを見直すと、まだまだ修行が足りないと思う。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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