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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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日本語は、英語と比べて、情報の流れが作りにくい
 日本語と英語を比べた場合、英語の方が情報の流れが作りやすい言語です。そのため、英語ではスッと流れる文章が、日本語ではややわかりにくくなることがあります。

 たとえば、次の文を考えてみましょう。
「当社は、業界で20年間トップに君臨し、世界的名声のあるA社を、ついに追い抜いた。」

 この文は、途中まで、当社が「業界で20年間トップに君臨し、世界的名声のある」かのように読めてしまいます、「A社を、」を読んで、はじめて、「業界で20年間トップに君臨し、世界的名声のある」がA社の説明とわかります。ちなみに、「当社は、業界で20年間トップに君臨してきた」とは読めません。なぜなら、「A社を、ついに追い抜いた」と矛盾するからです。

 英語なら、「当社は、ついにA社を追い抜いた。」と書いてから、関係代名詞を使ってA社を後ろから説明すればよいのです。読んでいくはしから理解できて、日本語のように、読み進んではじめて構造がわかるということはありません。

 しかし、だからといって、オリジナルの文を2つの文にしてはいけません。なぜなら、2つの文にすると、一方はA社が主語の文章になるからです。この文は、当社の説明ですから、主語は当社でなければならないのです。
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文章を書くとき、日本語と英語で差はない
 文章を書くうえで、日本語と英語で大きな差を感じることはありません。時々、おかしな説明を聞くことがあるので、誤解を解いておきましょう。

誤解:「英語は文頭に主語と動詞がある。だから、文章も結論から述べる」

 根拠が根拠になっていません。「文」の構成と、「文章」の構成は別物です。英語圏で結論を先頭に置く文章をよく見るのは、そう教育されているからです。英語圏でも、意識しなければ、結論が最後に登場します。実際、結論が最後に来る説明をよく見ます。

誤解:「英語は論理的な説明に向いている」

 論理的であるかは言語と関係ありません。英語だと論理的に説明できる根拠がわかりません。英語を使うから論理的考え、説明できるのではありません。論理的に説明する教育が熱心なのが英語圏なのです。通常、欧米では大学一年生の時に、論理的に書くことを一年かけて学びます。日本に、同様のシステムのある大学は数える程度です。

誤解:「英語だとYES/NOなど、意見を明確に言える」

 これも言語と関係ありません。日本語でも明確に言えます。単に、日本人は婉曲的な表現を好むというだけのことです。

 ちなみに、「英語圏ではYES/NOをはっきり言う」は誤解です。YESは、はっきり言いますが、NOは、はっきり言いません。NOをはっきり言えば、敵対したり、ビジネスをロストしたりするからです。
 I disagree with you.
なんて、教養なある人は言いません。
 I have another opinion.
と言ったりします。
日本語を知ると、英語が書ける
 前回、「話の中心を主語に置く。能動態か受動態かは主語で決まる」ことを少し書いた。このことと、日本語は主語が省略できることを合わせると、英語の無生物主語がなぜあるかがわかる。なぜ、日本人は無生物主語の文体が苦手かもわかる。

 無生物主語の文とは、次のような文だ。
The medicine will make the patient drowsy for several hours.

 この英語を直訳ではなく、意訳する。
直訳:この薬は患者を数時間眠くします
意訳:この薬を飲むと数時間眠くなります

 この意訳の日本語は主語が省略されている。省略されている主語は、「患者」または「あなた」である。この主語は明示する意味がない。なぜなら話の中心ではなからだ。だから日本語では、無意識に主語を省略した文を作る。

 しかし、英語は主語を省略できないので、話の中心の単語が主語になる。だから「この薬」が主語となる。「患者」または「あなた」は、話の中心ではないので主語にはならない。

 日本語は主語が省略できるので、無生物主語の文を作る必要がない。なれない文体なので、無生物主語の英語が苦手だ。この理屈を知っていると、無生物主語が使えるようになる。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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