Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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Google翻訳での注意点
 最近、私は英語を指導するとき、日本語をGoogle翻訳で英語に直し、その英語を修正するような指導を取り入れている(それだけではないが)。

 Google翻訳で少しでも英文作成の時間が短縮できれば、それに越したことはない。Google翻訳、昔の自動翻訳と異なり、かなり精度が上がっている。しかも無料だ。これをビジネスに使わない手はない。

 しかし、Google翻訳では不十分なことも多いので、そこを指導する。具体的には、いかのようなポイントだ。
 ・時制の誤り(過去形と現在完了形)
 ・主語の選択の誤り
 ・書き言葉向けの表現への修正

 Google翻訳で、もう一つ大事なことは、日本語を正しく書くことだ。日本語では普通に使う表現でも、実はAIでは理解しきれない表現がある。また、日本語が冗長なら、英語も冗長になる。

 たとえば、以下の日本語と、Google翻訳で作成された英語を考えてみよう。
元の日本語:
「この装置は、赤外線センサーが内蔵されていて、障害物を認識できます。」
Google翻訳の英語
「This unit has an infrared sensor built in, and it can recognize obstacles.」

 Google翻訳は、日本語を正しく読み取れていない。「赤外線センサー内蔵」と「障害物を認識」は、andで接続する情報ではない。前者は手段で、後者は行為だ。手段と行為は、等位(and)接続できない。しかし、日本語では、こういう意味を込めたような表現をよく使う。

 Google翻訳で正しい英語を出すためには、日本語も明確に書かなければならない。先の例でいえば、以下のような日本語なら、そこそこの英語が出てくる。
元の日本語:
「この装置は、内蔵の赤外線センサーを使って、障害物を認識できます。」
Google翻訳の英語
「This unit can recognize obstacles by using built-in infrared sensor.」

 結局、科学が進歩しても、日本語の書けない人は、英語も書けないのだ。
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英語の婉曲表現
英語にも婉曲表現はあります。ただ、日本語とは異なるので、婉曲と理解できない人が多いのです。

 たとえば、以下の英文を考えてみましょう。
If the articles are delivered later than the end of February, we may have to refuse them.
(訳:記事が3月以降に届いたときは、拝受できません)

 日本人が英語を書くと、後半が以下のようになる場合が多いです。実際に、そういう意味ですから。
we will refuse them.

 この"may have to"が婉曲表現です。

 まず、助動詞"may"が婉曲的な意味を持ちます。"may"は、50%以下の確率を表す助動詞です。一方、"will"なら99%を意味します。"may"という確率の低い助動詞を使うことで、ほぼ言い切りの"will"より当たりが柔らかくなります。(だからといって、残りの50%に賭けてみようなどと思ってはいけません)

 つぎに、"have to"も婉曲的な意味を持ちます。正しく日本語訳すれば、「~せざるを得ません」です。"have to"には「他人の都合により」というニュアンスがあります。つまり、「私は受け取っても良いのですが、他の人に迷惑が掛かるので、お断りせざるを得ません」という意味になります。

 このように、英語においても、教養ある人間なら、NOを言うときには配慮するものです。

Google翻訳はどこまで正しい英語に翻訳できるのか
Google翻訳はどこまで正しい英語に翻訳できるのか。

もとの日本語
「当社は懐具合が窮屈なため、5000ドル未満の注文に対しては、10%の割り増し料を請求せざるを得ません。」
Google翻訳した英語
「We are forced to charge a surcharge of 10% for orders under $ 5000, as our business is cramped.」

 文法的には成立しているし、意味も概ね伝わるだろう。しかし、ビジネス文章として、教養ある英文とは言えまい。

 まず簡単な問題点を挙げる。
1.”force”は、「無理矢理」の意味を含むので、この文脈では不適切な単語だろう
2."charge a surcharge"は、重ね言葉
3."business is cramped"は、「懐具合が窮屈」を正しく伝えているか不明。ネットでの使用例を見ると、「ビジネスやる上での場所が足りない」のような使い方が多い。文脈から「懐具合が窮屈」と取れるとは思うが、もっと適切な表現がありそうだ。

 さらに、テクニカル・ライティングの視点で言えば、この文は"we"を主語に置かない方がスマートである。なぜなら、マイナスなイメージの情報を発信するのに、"we"を主語にすると、そのマイナスなイメージが"we"に付くからだ。つまり、「他でもない当社が、割り増し料を請求するのです」というような印象を与える。

 では何を主語とするかというと、仮主語を使うのだ。たとえば、"Because of our financial condition, it has been necessary to"と表現する。マイナスなイメージの情報を発信する時は、人を主語とせず、ものを主語とするか仮主語を使うかすると、マイナスなイメージが少し緩和される。

 さらに、この文なら、時制は現在完了形が望ましい。この文意からすれば、おそらく割り増し料の請求は、懐具合が窮屈になった時点(過去)で始まり、今も続いているのであろう。となれば現在完了形だ。

 科学が進んでも、まだまだ、指導すべきことは多い。
英会話はなきなが勉強する
 商売柄、時々、「英会話が上達するにはどうしたらいいですか?」と聞かれる。私は、「泣きながら勉強するんだ」と答える。

 フルタイムで働いている人間が、日本に在住しつつ、英会話を習得するのはかなり大変だ。多くの場合、定時には帰れない。その生活の中で、英会話を勉強する時間を確保しなければならない。まあ、90%以上の確率で挫折する。

 しかし、英会話を習得するためには、相当量の勉強が必要だ。一般に、TOEICの点数を1点上げるのに、英会話のレッスン2時間が必要と言われている。英語を公用語とした楽天は、そのためには1,000時間の勉強が必要と考えていた。NHKで英会話のラジオ番組を担当してた杉田聡氏は、2,000時間が必要と述べている。

 かつ、その勉強は短期になされなければならない。10年かけて1,000時間確保しても意味はない。週5時間未満の英会話のレッスンなら、現状維持が精一杯らしい。短期に集中すれば、半年で話せるようになる。少なくとも、私はそうなった。

 大量の勉強時間を短期に確保するには、泣きながら勉強するしかない。つまり、他のすべてを犠牲にするしかない。遊んでいる暇はない。仕事以外のすべての時間を英語の勉強に使うかう覚悟が必要だ。その覚悟がないなら、たとえばデートしたいと思うなら、英会話習得はあきらめざるを得ない。

 フルタイムで働きながら、英会話を習得したいなら、「泣きながら勉強するんだ」よ。
辞書をプロジェクタに映して研修
 テクニカル・ライティングの世界では、「辞書はお金で買える実力」と言われているほど、上手に辞書を使うことが大事だ。そこで、私は英語を指導するとき、実際に辞書をプロジェクターで映しながら説明する。

 私は、windowsの辞書ソフトで、複数の辞書を引ける環境を構築している。このソフトで引けるのは、たとえば以下のような辞書だ。
 岩波国語辞典
 広辞苑
 ジーニアス英和辞典
 ジーニアス和英辞典
 ジーニアズ英和大辞典
 研究社新英和辞典
 研究社新和英辞典
 新編活用大辞典
 英辞郎
 和英辞郎
 例辞郎
 リーダーズ
 リーダーズプラス
 Oxford Advanced Lerner's Dictionary
 Collins COBUILD Advanced Learner's Dictionary
 Longman Dictionary of Contemporary English
 など

 この環境は、すべての辞書を個別に買わなければならないので、お金がかかる。数十の辞書がバンドルされている電子辞書と比べると、コストパフォーマンスが悪い。しかし、電子辞書ではプロジェクタに表示できないのだから仕方ない。

 さらに、この環境を構築するには、それなりのパソコン知識が必要だ。すべての辞書をEPWINGというフォーマットで用意する必要がある。このフォーマットで購入できない辞書は、ネットを頼りに自力で変換する。

 この環境を使って、実際に辞書を引きながら、講座を進める。辞書を使えば、大概の日本語は英語になることを指導する。受講者が演習を進めているのを見て回り、辞書を引かずに書いた英文を探す。誤用した英単語の辞書の記述をプロジェクタで映し、間違った使い方をしていることを指摘する。その指摘と同時に、辞書を引けば間違いを防止できることを指摘する。

 実際には辞書以外も使う。WEBだ。パソコンをネットにつないでおいて、必要に応じてWEBで調べる。使うのは主に、weblioというページとgoogleだ。

 辞書をプロジェクタに映しながら講座を進める講師っているのかなあ。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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