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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
11 | 2018/12 | 01
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サマータイムの主なメリット・デメリット
 この夏の酷暑&東京オリンピック開催の観点から、サマータイム制が急浮上しています。サマータイムは、アメリカで生活していたとき、切り替え時を2度体験しました。その経験から、個人的には賛成です。しかし、いい加減な議論がまかり通っているので整理します。

 サマータイムの主なメリット・デメリットは、以下のようかと思います。
<メリット>
1.省エネ
2.活動しやすい
3.余暇増大
4.レジャー産業の繁栄
5.交通事故減少
<デメリット>
1.残業増加
2.切り替え時のトラブル&コスト増
3.切り替え時の体調不良

<メリット>

1.省エネ
 省エネになるという試算がある機関から出ています。しかし、推進派の試算だけに、あまり当てにはできません。省エネにはなるでしょうが、思ったほどではと言うのが現実かと思います。過大な期待は禁物です。

2.活動しやすい
 まあ、早朝の活動(通勤とか)は楽ですが、夕方の活動(帰宅)がきつくなります。オリンピックだけなら、それでもいいのでしょうが。プラスマイナスゼロですかねえ。

3.余暇増大
 ゴルフのような照明を使えない屋外レジャーは、ずらした時間の分だけ長く楽しめます。特に休日の夕刻でレジャーがしやすくなります。平日だと、明るいからと言って遊ぼうという気になる日本人は少ないでしょう。帰宅時明るくて暑いので、ビヤガーデンに出かける人は増えるかも。ただ、花火大会は厳しいかも。営業時間が延びそうなレジャー産業と、その逆で困る産業の例がもっとほしいです。

4.レジャー産業の繁栄
 上記の関連企業および飲食店などは、売り上げが伸びるでしょう。これも、試算や具体例がほしいですね。

5.交通事故減少
 これについては、わずかではありますが海外でのデータがあります。人が活動している時間での明るい時間の割合が増えるので、事故が減るという理屈です。しかし、この理屈が成立するなら、日の長い春から秋にかけての方が、秋から冬にかけてより、交通事故が減らなければなりません。国内ではそうのような傾向はありません。

<デメリット>
1.残業増加
 残業が増えるのは、明るい間に仕事をする人たちだけです。たとえば建築業とか。外が明るいからと言って、残業するオフィスワーカーは少ないでしょう。日照時間で残業が増えるなら、日の長い春から秋にかけての方が、秋から冬にかけてより、残業時間が増えなければなりません。国内ではそうのような傾向はありません。

2.切り替え時のトラブル&コスト増
 これは避けがたいですし、かなりのコストが必要です。特に、銀行のシステムや交通機関の運行システムでは大変です。ただし、多くの場合、導入時の最初の1回だけです。年に2回の切り替えは、家庭内においてはたいした手間ではありません。実は、今の多くの家電には、サマータイム制対応機能がついています。使わないし、目立たないだけです。

3.切り替え時の体調不良
 これを大げさに主張する団体がいますが、体験上、何の問題もありません。そもそも、1時間程度の変化で体調不良を起こすなら、年がら年中体調不良です。しかし、弱者のことを考慮しなければなりません。特に80歳以上の高齢者のデータがほしいです。

<注意>
当たり前ですが、1日は24時間であることは変わりません(切り替え時の2日を除いて)。9時-17時が定時の会社なら、9時-17時定時は何も変わりません。帰宅するとき、例年より外が明るいだけです。
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どう質問すれば、相手を窮地に追い込めるか(2)
 日大アメフト部の問題。この手のニュースを見ると、私は、「どう質問すれば、相手を窮地に追い込めるか」を考えてしまう。ディベートにおける尋問の練習だ。

 相手を窮地に追い込む質問方法は2つある。
1.相手から事実(と主張すること)だけを複数聞き出し、その事実の矛盾を指摘する
2.誘導尋問で、YESともNOとも言えなくする

 今日は、上記2の話。

 普通に質問すればNOと答える質問を、YESと答えるように誘導する手法である。裁判では使えまない。裁判で使うと、相手の弁護士が「異議あり。誘導尋問です」と裁判長に主張し、裁判長は「異議を認めます」と述べて、質疑が無効となる。しかし、ディベート競技や日常では有効。

 今回のアメフトの事件で、以下のような質問が考えられる。

質問:「宮川選手は、試合前の数日間、全体練習から外されていましたね」
監督:「はい」
質問:「宮川選手を全体練習から外したのは、練習に覇気を感じなかったからですね」
監督:「はい」
質問:「でも、試合当日、宮川選手を1プレー目から使いましたね。」
監督:「はい」
質問:「宮川選手を1プレー目から使ったのは、当日の彼の言動に覇気を感じたからですね。」
監督:「はい」
質問:「そこで、1プレー目からQBを潰すような気持ちでいけと送り出したのですね。」
監督:「はい」
質問:「相手QBがパスを投げた後、ボールを見ていて、宮川選手を見ていなかったのですね」
監督:「はい」
質問:「その後、宮川選手のタックルで、相手QBが怪我したことを知ったのですね。」
監督:「はい」
質問:「1プレー目の後、宮川選手に指示も出していないし交代もしていませんね。」
監督:「はい」
質問:「つまり、相手QBがパスを投げた後、ケガするほどのタックルをすることを、覇気のあるプレーとしてみなしたのですね」
監督:「…」

この尋問のコツは、次の3つにある。
1.「はい」としか答えようのない質問をする
2.質問は、可能な限りスモールステップを踏む
3.最後に、これまで認めたことを使った質問をする

 まあ、これでうまくいくとは限らないが、あくまでディベートの尋問のトレーニングと思ってください。
どう質問すれば、相手を窮地に追い込めるか(1)
 日大アメフト部の問題。この手のニュースを見ると、私は、「どう質問すれば、相手を窮地に追い込めるか」を考えてしまう。ディベートにおける尋問の練習だ。

 相手を窮地に追い込む質問方法は2つある。
1.相手から事実(と主張すること)だけを複数聞き出し、その事実の矛盾を指摘する
2.誘導尋問で、YESともNOとも言えなくする

 今日は、上記1の話。

 嘘をつけば、必ず矛盾が生じるので、そこを指摘する手法である。たとえば、「あなたはAの後、Bをしたとおっしゃったけど、Aしてしまうと〇〇になるから、Bはできないでしょ」のように。裁判において弁護士が使う手法とも聞いている。

 今回のアメフトの事件で、日大監督は、「ボールを見ていて、関学大のQBがタックルを受けた瞬間は見ていない」と述べているようだ。そこで、以下のような質問が考えられる。

質問:「パスを投げるまでは、関学大のQBを見ていましたか?」
監督:「はい」
質問:「QBがパスを投げた後、そのボールを目で追ったのですね?」
監督:「はい」
質問:「パスがインコンプーリート(不成功)になるのを見ましたか?」
監督:「はい」
質問:「その後、QBの方を見たけど、すでにタックルを受けた後だったのですね。」
監督:「はい」
質問:「パスがインコンプーリートになるまでボールを見ていたので、タックルの瞬間を見ていないのですね?」
監督:「はい」
質問:「パスがインコンプーリートになってからQBがタックルを受けるまでは、ビデオによると1秒以上ありますが、その間、なぜインコンプリートになってグランドに転がっているボールを見ていたのですか?」
監督:「…」

この尋問のコツは、次の3つにある。
1.相手には、可能な限り「はい」としか答えさせない
2.とどめの質問をする前に、もう一度、事実を確認する(このケースなら「パスがインコンプーリートになるまでボールを見ていたので、タックルの瞬間を見ていないのですね?」と念押しをする)
3.矛盾点を最後に示す(途中でにおわせない)

 まあ、これでうまくいくとは限らないが、あくまでディベートの尋問のトレーニングと思ってください。
ライティングとディベート
 私は、ライティングを深められのは、ディベートを勉強したことによると思っている。ディベートで勉強したのは、リンクと論証の概念だ。

 リンクとは論理単位を縦につなぐ概念だ。縦につなぐとは、「AならばBになるはず」というつなぎだ。このリンクがしかっりできていないと、論理は破綻する。しかし、多くの人は、このリンクがまともに繋げられない。繋げられないのに、繋げている気になっている。ディベートでは、リンクが弱いと相手に突っ込まれて負ける。

 論証とは、リンクを根拠で支持することだ。ついまり、「AならばBになるはず」と言ったら、そうなることを根拠で支持する。しかし、多くの人は、「AならばBになるはず」と主張しただけで根拠を述べない。根拠を述べていないのに、述べた気になっている。ディベートでは、論証が甘いと相手に突っ込まれて負ける。

 リンクがしっかりしていると、文章は「既知から未知」に流れる。つまり、「AならばBになる」、「BならばCになる」、「CならばDになる」という流れになる。未知な情報=初登場の単語が文頭に来るなら、リンクはつながっていないのだ。逆に言えば、「既知から未知」の流れを意識すると、リンクは自然とつながってくれる。

 論証がしっかりしていると、パラグラフは4-8文ぐらいにはなる。根拠をしっかり述べれば、データや具体例が必要になるので、自然と4-8文は必要になる。パラグラフが、1-2文で終わるなら、根拠はほとんど述べていないのだ。逆に言えば、1つのパラグラフを4-8文で書こうとすると、自然と論証ができてしまう。

 ディベートは議論のためだけの勉強ではない。もちろん、議論の勉強にはなる。しかし、日本では論理的な議論をする場面が少ない。むしろ、別の勉強に有効だ。
ディベートは、論理的思考力を鍛えるための最適な手法
 私は、論理的思考力を鍛えるために、いろいろな体験をし、学習し、思考してきた。私の経験上、社会人に必要な論理的思考力を鍛える最も効果的な方法は、ディベートだと思っている。ビジネス書で紹介されているMECEやロジックツリー、フレームワークではない。具体例で紹介しよう。

 ある企業から、本部長の承認を得るために作る年間計画書(承認前)が分かりにくいという相談を受けた。その年間計画書は、A2の紙で作成することになっている。年間の計画や施策を、昨年の反省や現状分析などを踏まえて詳しく説明してある。この計画書を使って、本部長に説明し、その計画への承認を得るのが習わしだ。

 その計画書が分かりにくいのは、ライティング上の問題もあるが、それ以上に論理的にできていないからだった。昨年の反省も、現状分析も、トップの方針も、今年の施策も関連がない。本筋と関係ない、無意味と思えるデータが、細々小さく載っている。本部長に質問されたときのためらしい。

 ディベートを勉強すれば、理路整然と整理できる。ディベートでは、現状を分析し、対策(プラン)をたて、そのプランが有効な(メリットが生じる)ことを証明していく。それぞれの分析や証明には、必ず立証に必要なデータを付ける。相手に不備を指摘されないように、相手の指摘を考慮したデータを準備する。闇雲に準備していたので、非効率だし、効果的に提示できない。さらには、問題点の未然防止ができるようにプランを考える。

 ディベートのベースになるのは、このようなリンクと論証という縦のつながりだ。つまり、現状-プラン-メリットう縦につなげ(リンク)、それぞれをデータで論証していく。メリットを複数、横に並べることもあるが、そこは思考上、重要性ではない。リンクと論証が重要だ。

 一方、MECEやロジックツリー、フレームワークという訂版の論理的思考は、横に並べる思考法だ。この思考法は、「当社の利益率を上げるには」のような漠然とした大きな課題に対して、網羅的に思考するには適している。だから、コンサルティングなどでよく使われる。マーケティングなどにも有効だろう。

 実際のビジネスの現場では、横より縦が重要だ。現場では、課題は絞られているので、広く横を見る必要はない。実際には、対策すら事前に事実上決まっていることも多い。その対策がいかに機能するかを証明するのは、基本的には縦に繋げて説明する。

 もっと、ディベートが広まるといいのだが。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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