Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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自分一人でもフィードバックを得る方法
 文章力を向上させるには、フィードバックが必要だ。しかし、文章力のある第三者がいなければ、フィードバックは得られない。でも、自分一人でもフィードバックを得る方法が実はある。

 正しく書けているかのフィードバックがないと、文章を書く力の上達は難しい。フィードバックない状態で文章を書くということは、野球の練習で、真っ暗闇の中で無感覚の人間がボールを打っているようなもんだ。バットにボールがあたったのか、ボールはどこに飛んだのか、が分からないなら(フィードバックがないなら)、バッティングが向上するはずもない。同様に、自分の文章が良いか悪いかのフィードバックがないと、上達は難しいだろう。

 正しく書けているかは、書き手では判断しにくい。たとえば、「1つのパラグラフでは1つのトピック」というルールを知っていても、自分の書いたパラグラフが、1つのトピックだけを述べているかは、書き手が素人なら判断しきれない。「パラグラフの先頭にトピックセンテンスを書く」も、先頭文がそのパラグラフを的確に総括しているかは、やはり素人では判断しきれない。

 フィードバックしてくれる第三者もいないし、自分でも判断できないとなると、文章力の向上は難しい。その結果、ルールは知っているが、そのルールに基づかない文章を書いていて気がつかない。おかしな文章が氾濫する。書いた本人は、ルールを守ったつもりでいるのだから、おかしな文章とも思ってはいない。

 正しく書けているかを、書き手が判断する効果的な方法は、「パラグラフの先頭文でロジックが通るかどうか」を確認することだ。パラグラフはロジックの構成単位だ。そのトピックを正しく1文目で表明してあるなら、1文目だけでロジックを構成するトピックをすべて抽出できる。だから、1文目だけ読んで、ロジックが成立する。パラグラフの先頭文でロジックが通るなら、1つのパラグラフで1つのトピックを述べ、かつ、そのトピックを1文目で述べた証拠となる。

 さらに、プラスの方法として、「パラグラフの先頭文だけで、既知から未知に流れるかどうか」もチェックするといいだろう。書き手は、書いていないことまで頭に置いているので、おかしな文章でも、「ロジックが通る」と勘違いすることもある。これを防ぐために、既知から未知に流れも確認する。書き手の頭にだけある情報を使うと、未知な情報が文頭に来る。こういう文章は、書き手には違和感がなくても、読み手は理解できない。

 まあ、このチェックをクリアできる文章を見ることは、10年に1度くらいだが。
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たくさん書けば上達する?
 自分の専門に関連する本(紙で26冊、電子で8冊)に目を通している。。多くの本で、「上達するにはたくさん書く」とある。しかし、ただたくさん書くだけでは、論理的な文章を書けるようにはならない。

 多くの本で、「上達するにはたくさん書く」と述べてはいるが、根拠は書いていない。私がこれまで読んだ本で、たくさん書くと上達する根拠を、論理的に説明してある本は見たことない。「〇〇の本にそう書いてある」という、ふざけた根拠は読んだことはある。私から見れば、書けるようになったと思い込んでいるだけだ。

 たとえば、「速く論理的に書く技術」(平田周)では、たくさん書けば上達する趣旨のことを、こう述べている。
----引用----
 書き方の指導というと、マナーのお説教と同じで、何か堅苦しい、面白くないもののように思われがちですが、考える力を養うのと同じで夢のあることです。それには、あまり細かいことに神経を使わず、言うべきことを的確に伝えることに注意を向けましょう。数多く書いているうちに、書く技術は自然と身につきます。
----引用----
「数多く書いているうちに、書く技術は自然と身につ」く根拠はない。

 たくさん書いても論理的な文章が書けるようになるわけではないことは、この文章が証明している。主張だけ述べて根拠を述べないのは、非論理的な文章の代表だ。さらに、この文章は、1つのパラグラフで2つのトピックが述べてある。しかも、「それには」が何を指しているのかわからない。

 たくさん書いても論理的な文章が書けるようになるわけではない根拠は、フィードバックがないからだ。書いた文章が、正しく書けているかのフィードバックがないと上達は難しい。たとえるなら、野球の練習で、真っ暗闇の中で無感覚の人間がボールを打っているようなもんだ。バットにボールがあたったのか、ボールはどこに飛んだのか、が分からないなら(フィードバックがないなら)、バッティングが向上するはずもない。

 また、たくさん書いても、知らないことはできるようにはならない。たくさん書いたからといって、パラグラフという概念が自然と身につくことはない。文章やパラグラフの先頭に、ポイントを書く習慣が身につくわけでもない。まして、文を論理的につなぐために、既知から未知に情報が流せるようになるわけでもない。

 ルールを意識してたくさん書けば、そのルールは身につく。たとえば、一文一義を意識しながら文章をたくさん書けば、一文一義は身につく。たくさん書いているうちに、一文一義になっていない文章を書くと気持ち悪くなる。ただそれは、知っているルールが身につくだけで、知らないルールが身につくのではない。

 たくさん書くと文章が上達する根拠が知りたい。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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