Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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PowerPointにおけるアニメーションの効果的な使い方(2)
 PowerPointをつかったプレゼンテーションで、アニメーションは、概略(ポイント)から詳細へと表示する。上から順に表示するのではない。

 たとえば、プレゼンテーションに使うポインタの紹介をするためのスライドを作ったとしよう(下図参照)。ポインタには、指示棒とレーザーポインタがある。その2つのポインタの長所と短所の紹介だ。
箇条書き後

 このスライドにアニメーションを設定するとき。上から順に表示させるのではない。つまり、指示棒の説明が終わった後、レーザーポインタの説明に移るのではない。

 このアニメーションは、概略から詳細へと表示する。つまり、「ポインタには、指示棒とレーザーポインタがある」とアニメーションしてから(下図参照)、指示棒の詳細説明、レーザーポインタの詳細説明と移るのだ。概略から詳細へと説明した方が分かりやすい。説明の全体像が先につかめるし、話の終わりも見えるから。
箇条書き前

 しかし、このアニメーションで説明する人はまずいない。なぜなら、PowerPointのアニメーションのデフォルトは、上から順に表示だから。そもそも、箇条書きをアニメーション表示するのに、概略から詳細へと表示できることを知らない人もいる。

 説明するときに、「〇〇にはAとBがあります。Aは、…。Bは、…。」と説明することはよくある。なぜ、PowerPointになったら、それをやらない。こういう説明をしている本は、自著以外で見たことはない。

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PowerPointにおけるアニメーションの効果的な使い方
 プレゼンテーションの本で、読む価値のある本は少ない。たとえば、PowerPointを使ったプレゼンテーションで、アニメーションの基本説明ですらいい加減だ。

 PowerPointにおけるアニメーションの使い方を、きちんと論理立てて説明している本は少ない、ほぼない。「効果的に使うが、使いすぎない」ようなことは書いてある。しかし、どう使うのが効果的かは書いていない。何が使いすぎかも書いていない。そもそも、PowerPointを使ったプレゼンテーションの説明なのに、スライドの例もなく言葉だけの説明が多い。

 PowerPointにおけるアニメーションの効果的な使い方には3種類ある。(以下の説明は、実際のスライドを使いたいが、ブログという制約上、勘弁を願う)
 1.ステップ・バイ・ステップに見せるマスキング効果
 2.需要ポイントを目立たせる強調効果
 3.動作を伝えるイメージング効果

1.ステップ・バイ・ステップに見せるマスキング効果
 最もよく使う、箇条書きを順に表示するアニメーション。箇条書きは1項目ずつ説明に合わせて表示する。全部をいっぺんに表示してから1項目ずつ説明してはならない。全部をいっぺんに表示すれば、聴衆は全部を読もうとする。したがって、プレゼンターの説明は聞かない。話していないことは、見せない(=マスキングする)ことも大事だ。

2.需要ポイントを目立たせる強調効果
 強調したい部分を示す囲みなどを、後から表示するアニメーション。図や写真を大写しすると、大事なポイントが他のポイントに埋もれるときがある。そこで、大事な部分を枠で囲ったりすることで強調する。

3.動作を伝えるイメージング効果
 PDCAのサイクルなど、動きのあることを説明するときに使うアニメーション。サイクルの動き、右から左への動き、上から下への動き、この動きをアニメーションで見せることで、動きをイメージしやすくする。この使用法は、説明がステップ・バイ・ステップになるので、マスキング効果も兼ねている。上記の1と違うのは、マスキング効果より、動きをイメージさせることが中心にあることだ。

 上記の1-3に当てはまらないなら、多くの場合使いすぎのアニメーションと言えるだろう。スライドを切り替えるときの演出アニメーションは、その代表例だ。私は、かつて、派手な演出のアニメーションによって、失笑が生じたプレゼンテーションを見たことがある。まあ、それはそれで印象には残ったが(内容は覚えていない)。

 年配の方の中には、「アニメーションは邪道だ、意味がない」とおっしゃる人もいるが、そんなことはない。上述のように、説明していない内容は見せないとか、大事なことを強調するとかには必要なテクニックだ。アニメーション不要論を唱える方は、アニメーションを演出と考えているのだろう。アニメーションは演出ではなく、理解を助けるのに必要なのだ。
発信者と受信者は、持っている情報が違う
 私が講座で強調するのは、「発信者と受信者は、持っている情報が違う。これを意識しないと説明が分かりにくくなる」ということだ。代表例は、プレゼンテーションで、目次を最初に示したっきり、二度と示さないことだ。

 発信者は、最初からすべてを知っている。すべてを記憶した上で説明している。説明内容の大きな流れも記憶している。今、自分が何を説明していて、次に何を話すか、今が先とどうつながっているかも知っている。

 しかし、受信者は説明を受けたことを、短時間記憶するだけだ。説明内容の大きな流れは、説明をしてくれないならわからない。説明してくれても記憶はできない。説明者が、今、何を説明していているかは理解できても、次に何を話すか、今が先とどうつながっているかも知らない。

 発信者と受信者の持っている情報を区別できないから、プレゼンテーションで、目次を最初にだけ示す。プレゼンターは、目次を1回見せれば十分だ。なぜなら、その目次を記憶しているのだから。しかし、聴衆は目次を記憶できない。記憶できて20秒程度だ。だから、プレゼンテーションを聴いている間、ロジックの流れを理解できない。

 プレゼンテーションの目次は、目次項目が1つ進むたびに出し直すのだ。たとえ、そのプレゼンテーションが10分であっても。目次を出し直せば、聴衆は、プレゼンテーションのロジックの流れを再確認できる。今話したことが、全体の流れのどういう位置づけかも確認できる。これから話すことが、何で、全体とのつながりも理解できる。

 こういうことをちゃんと説明してくれるプレゼンテーションの本はほとんどない。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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