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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
11 | 2018/12 | 01
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文章とスピーチの違い(Part3)
 スピーチであるプレゼンテーションと文章では、説明をどう変えるべきか?のPart2。前回示した、スピーチとプレゼンテーションの違いのうち、「1.文章は記録に残るが、スピーチはその場で消える」と「4.文章はある程度の広範囲を見渡せるが、スピーチは話している部分しか意識できない」も、説明の仕方に、以下のような大きな差をもたらします。
1.全体での位置づけの把握容易さが違う
2.前後の接続関係の把握容易さが違う

1.全体での位置づけの把握容易さが違う
 全体像を述べてから詳細説明に移るとき、文章は全体像を頭に置きやすいのですが、プレゼンテーションは全体像を忘れやすいです。たとえば、「A,B,Cがある」と述べてからAを説明するときです。文章は全体像が詳細説明の前に書いてありますから、広範囲を見渡たすことで、全体像が確認できます。しかし、プレゼンテーションでは全体像が前のスライドに示されているので、詳細説明を聞いているときには、全体像がスライドに映っていません。今なされている詳細説明が、全体像のどこかが分かりにくくなります。

 そこで、プレゼンテーションでは、詳細説明をするときでも、全体像が目に映る工夫が必要です。A,B,CのAを説明するとき、A,B,Cという全体像を、小さく表示しておくのです。たとえば、Aのスライドの邪魔にならない部分(スライド右上)などです。

2.前後の接続関係の把握容易さが違う
 前後のトピックに接続関係があるとき、文章は前後の接続関係を確認しやすいのですが、プレゼンテーションは難しいです。接続関係があるとは、たとえば、原因と対策を述べたとき、対策が原因を正しく対応しているかということです。文章なら、前のトピックが直前に書いてありますから、広範囲を見渡たすことで、前後が確認できます。しかし、プレゼンテーションでは前のトピックが前のスライドに示されているので、次のトピックを聞いているときには、前のトピックがスライドに映っていません。今なされているトピックが、前のトピックを正しくヒットしているかが分かりにくくなります。

 そこで、プレゼンテーションでは、前後のトピックに接続関係があるとき、、対応関係が目に映る工夫が必要です。たとえば、前のトピックや図解を、次のスライドの邪魔にならない部分に小さく表示しておくのです。あるいは、前のスライドのキーワードを、次のスライドにそのまま持ち込むとか。

1.2は、なぜできない
 こういうことを意識できているプレゼンテーションを見ることはありません。なぜなら、プレゼンターは、全体像を絶えず頭に置けるし、前のトピックを意識しつつ次のトピックを説明できるからです。なにしろ、自分の作ったプレゼンテーションですから。しかし、初めて聴く聴衆からすれば、とても意識しきれません。
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文章とスピーチの違い(Part2)
スピーチであるプレゼンテーションと文章では、説明をどう変えるべきか?前回示した、スピーチとプレゼンテーションの違いのうち、「3. 文章は読み方を受信者が決めるが、スピーチは受信者がコントロールできない」が、説明の仕方に、以下のような大きな差をもたらします。
1.並べる順が違う
2.最初と最後の重みが違う
3.説得のアプローチが違う

1.並べる順が違う
文章は重要な順が基本ですが、プレゼンテーションでは重要な情報を最後に出すときもあります。文章は、読み方を受信者が決めるので、最後まで読んでもらえる保証はありません。途中で読むのを止めてしまうかもしれません。しかし、確実に言えるのは、上から読んでいくということです。だから重要な順です。一方、プレゼンテーションは、最後まで聞くのが前提になりやすいです。なので、最後に重要な情報を出す戦略も使えます。

2.最初と最後の重みが違う
同じ理由から、文章は最初に大事な情報をまとめることが重要ですが、プレゼンテーションは最後のまとめも重要になります。文章では、最初に大事な情報をまとめるのです。最後まで読んでもらえると思ってはいけません。一方、プレゼンテーションは最後まで聞くのが前提ですから、まとめの重要性が増します。しかし、プレゼンテーションでも、いわゆる「つかみ」は重要です。

3.説得のアプローチが違う
説得するために、ステップバイステップに説明して、結論を最後にだけ述べたいならプレゼンテーションを使うべきです。文章で、ステップバイステップの説得はできません。なぜなら、文章の場合、結論が先にないと、ページをめくって結論を先に見るからです。文章では読み方を、受信者が決めるのです。どんな結論になるかわからない文章を、1ページ目から順を追って読む人はいません。一方、プレゼンテーションは最初から最後までを通しで聞くのが前提になりやすいので、ステップバイステップの説得に向いています。
文章とスピーチの違い(Part1)
文章とスピーチ(プレゼンテーション)は、何が違うでしょうか?この違いを意識すると、効果的な説明方法がわかります。私が感じる違いは、以下の5点です。他にもありませんか?
 1.文章は記録に残るが、スピーチはその場で消える
 2.文章は目から入ってくるが、スピーチは主に耳から入ってくる
 3.文章は読み方を受信者が決めるが、スピーチは受信者がコントロールできない
 4.文章はある程度の広範囲を見渡せるが、スピーチは話している部分しか意識できない
 5.文章はすべてを決めてから書くが、スピーチはある程度即興で話せる

1.文章は記録に残るが、スピーチはその場で消える
 なので、記録に残すときは、原則として文章を使います。記録に残るので、後で読み直すこともできます。スピーチも録音という手がありますが、その頻度を考えれば例外と言えるでしょう。

2.文章は目から入ってくるが、スピーチは主に耳から入ってくる
 なので、強調の仕方が変わります。文章は強調したいときには目に訴えます。つまり、強調したい箇所のフォントを大きくしたり、下線を引いたり、色を変えたりします。一方、スピーチは耳に訴えます。強調したい箇所では声を大きくしたり、間を開けたりします。

3.文章は読み方を受信者が決めるが、スピーチは受信者がコントロールできない
 なので、文章では読む速度から読む箇所まで読み手が決めます。文章なら、概略だけ読んで終わりにすることも、全部を通しで読むことも、大事な部分だけを選んで読むことも、分かりにくい部分を戻って読み直すのも、読み手の自由です。一方、スピーチは受信者である聞き手はコントロールできません。最初から最後までを通しで一回聞くのが前提になりやすいです。

4.文章はある程度の広範囲を見渡せるが、スピーチは話している部分しか意識できない
 なので、文章では全体を意識しながら細部を読めます。最近の文章は両面コピーか、ディスプレイに2枚表示が多いです。ですから、ある程度の範囲で前後を見渡せます。一方、スピーチでは、今話しているその部分、そのスライドしか意識できません。

5.文章はすべてを決めてから書くが、スピーチはある程度即興で話せる
 なので、文章では後から修正できません。一方、スピーチは聴衆を見ながら対応できます。聴衆が理解できていないと思えば、具体例を追加したりすることも自由です。

 では、文章とスピーチでどう説明の仕方を変えるか?それは次回。
プレゼンテーションの改善 その2
 昨日、早稲田大学エクステンション講座「12時間で学ぶMBAエッセンス」をテーマに、2枚のスライドの問題点を指摘した。そこで、今日はその改善策を示す。

 まず、「人材マネイジメント」の定義を考え直す。思考のポイントは、昨日指摘したように「管理」と「戦略に適合した組織を構築すること」の関係だ。さらに、この定義が、この後に続く5つの視点や2つのアプローチとつながっていなければならないということだ。「人材マネイジメント」の定義と、その後に続く説明がばらばらでは論理性を欠く。

 そこで、「人材マネイジメント」の定義を「中長期の戦略を実現する力を有する社員を育成すること、および、その社員が力を発揮できる組織を構築すること」とした。まず、「管理」=「戦略に適合した組織を構築すること」ととらえた、なぜなら、昨日説明したように、そうとらえないと説明に無理が生じるからだ。次に、「管理」という抽象的な表現ではなく、「戦略に適合した組織を構築する」というより具体的な表現を使った。ちなみに「採用」は削除した。なぜなら、このあと「採用」の話はほとんど出てこないからだ。

 この「人材マネイジメント」の定義の中に、5つの視点と2つのアプローチにつながる内容を織り込んだ。社員の育成は、「仕事を進めていく過程ごとに」として、このあとの5つの視点につなげる。組織の構築は、「制度と感情の両面で」として、同じく2つのアプローチへとつなぐ。後ろの説明との明確な接続が論理性を生む。

 補足として、「人材マネイジメント」の注意点を加えておいた。この注意点は、授業ノートでメモした内容と、オリジナルのスライドに書かれていた内容だ。2つの注意点にも関係性を持たせてある。「労働市場の流動化や社会構造の変化も考慮」だけでは、何に対しての注意か分からないから。

 次のスライドの5つの視点を説明する上で大事なのは、この5つがモレもないダブりもない(MECE)であることを示すことだ。業務は、目標設定→業務遂行→成果評価→次の仕事というプロセスの繰り返しだ。そこで、先のスライドで述べたように「仕事を進めていく過程ごとに」に視点を設ければMECEとなる。ここに私生活を絡めれば、WLBも織り込める。5つの視点の右側には、考慮すべきポイントを、可能な限り並列感が出るよう示した。

 次のスライドの2つのアプローチの説明でも、大事なことはMECEであることを示すことだ。オリジナルのスライドのように、「組織設計と社員の動機付け」ではMECE感はまるでない。そこで、Hardware(制度)とSoftware(感情)とすることで、すこしはMECE感が出る。十分とは言えないが、オリジナルよりかなりましだ。

 ちなみに「人材マネイジメント」の歴史上、組織設計→動機付けという流れになっている。このことは、「ホーソンの実験」という話で、講義中に説明がある(授業ノートに書いてある)。そのこともおまけとして付け加えておいた。

 あとは、2つのアプローチの説明を揃える。つまり、箇条書きの大項目から小項目に行くに従って、両アプローチともブレークダウンする。オリジナルのスライドでは、「動議付け」という言葉が重複している。正しくブレークダウンすれば、このような重複は生じない。

 「人材マネイジメント」の定義と、5つの視点と2つのアプローチがつながっていることも明示的に示す。5つの視点と2つのアプローチのスライドでは、先頭で「〇〇するために」と、「人材マネイジメント」の定義をしたスライドで使用した言葉を使っている。スライド間の接続は、このように明示しなければならない。内容か読み取らせようとしても、読み取れない聴衆が必ずいる。

 このあと説明は、「まとめノート」のトライアルで使った「組織における重大3要素」へとつながるのだが、この接続が苦しい。つまり、「人材マネイジメント」の定義と、5つの視点と2つのアプローチはつながっているのだが、これに続けて「組織における重大3要素」を説明する流れが作れない。今のところ改善策も私の頭には浮かばない。

 論理的な説明なら、このあとは「人材マネイジメント」の方法を、5つの視点ごとに、2つのアプローチをはっきり意識して説明することになる。そうでないなら、何のために5つの視点や2つのアプローチを示したのか分からない。「人材マネイジメントには、5つの視点と2つのアプローチがあります。ところで、話は変わりますが人材マネイジメントでは」では、論理性もへったくれもない。

 しかし、実際の講義では、このあとの説明で、5つの視点も2つのアプローチも明示的に登場しない。やれやれ。

MBA_改1


MBA_改2


MBA_改3

プレゼンテーションの改善 その1
 先日、早稲田大学エクステンション講座「12時間で学ぶMBAエッセンス」をテーマに「まとめノート」作成のトライアルをしてみた。こうやって「まとめノート」を作成しようとすると、オリジナル講義の論理的な問題点がたくさん目に付く。そこで、今日は、この問題点を洗い出してみよう。

 ターゲットは、下記に示す2枚のスライド。「12時間で学ぶMBAエッセンス」の中から「人材マネイジメント」という科目における、最初の2枚だ。この2枚は、先日「まとめノート」のトライアルをした「組織とは」というスライドの直前に位置する。

<1枚目>

 まず、1文目にある人材マネイジメントの定義がダメだ。「人材マネイジメントとは…管理する」では、循環定義だ。循環定義とは、ある概念を定義するためにその概念自体(=定義しようとしている言葉)を用いることだ。「マネイジメント」=「管理」だろ。英語を日本語にしただけで循環している。そもそも、「人材マネイジメントとは…管理する」では、日本語になっていない。

 さらに、「採用」「育成」は分かるとして、「管理」がそもそどんな行為を指しているのか分からない。「管理」とは何かを考えていくと、すぐ下に「人材を採用・育成しつつ、戦略に適合した組織を構築する」とある。ということは、「管理」とは「戦略に適合した組織を構築する」ことか?もし、「管理」=「戦略に適合した組織を構築すること」なら、なぜ、同じことを繰り返しているのか?もし「管理」≠「戦略に適合した組織を構築すること」なら、この2つの文で整合が取れない。どちらにしても論理性に欠ける。

 また、「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」も唐突で論理性に欠ける。ここに書かれた人材マネイジメントの定義から、なぜ、「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」と言えるのか?根拠もなしに、「人材マネイジメントでは、組織設計と社員の動機付けを考える」と言われても、「はいそうですか」とは思えない。

 さらに、その後の「人材マネジメントを考える5つの視点」も唐突で論理性に欠ける。この5つの視点はどこから導き出されたのか?先に述べた「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」と関係はあるのか?関係があるなら、その関係を示さなければならない。関係がないなら非論理的だ。

 また、この5つの視点はモレもなくダブりもない(MECE)と言えるのか?6つ目の視点はないのか?ないなら、なぜないと言えるのか?

<2枚目>
 この2つのアプローチも唐突だ。1枚目に述べた「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」につながっていることは分かる。しかし、そもそも「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」が唐突なだけに、2つのアプローチを説明されても、「この2つのアプローチが重要だ」とは思えない。

 また、この2つのアプローチはMECEと言えるのか?3つ目のアプローチはないのか?ないなら、なぜないと言えるのか?

 さらに、言葉の使い方もいい加減だ。1枚目では「目的」となっていたことが、2枚目では「目標」となっている。同じことを指していると思われるが、言葉を変えてはいけない。そもそも別科目で目的と目標は異なると学習している。言葉の使い方という意味では他にも、「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」と言ったのに、2枚目のスライドは、「構造アプローチ」と「動機づけアプローチ」となっている。「戦略に沿った組織設計と社員の動機付けを考える」を受けて、「構造アプローチ」ではなく「組織設計アプローチ」とすべきだ。さらに、「動機づけアプローチ」を右にたどると、「欲求動機の高揚を考える」と、ただの繰り返しになっている。ここは、「構造アプローチ」の右の説明が「組織設計を考える」とあるように、「動機づけアプローチ」の右の説明は、「動機づけアプローチ」をブレークダウンしなければならない。

 わずか2枚のスライドだが、このように論理的に分析していくと、論理的な問題が山ほど見つかる。そこで改善だが、それは次回。

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プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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