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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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道順を説明する
 突然ですが、「下記の地図を参考に、『You are here.』から『Goal』までの道順を説明してください」と言われたら、どんな説明をするでしょうか?

 多くの人は、「この道を北にまっすぐ行って、突き当たりを左に」のように始めるのではないでしょうか?

 分かりやすい説明は、「Goalまでは、北西に歩いて十分ぐらいです。角を全部で三回曲がります。まず、この道を北にまっすぐ行って、」のように始めます。

 先に全体像を示すと分かりやすくなります。最初に、Goalへの方向と距離感を掴めます。1つめの角の説明の時には、全体の2-3割、3つめの角なら7-8割と当たりがつきます。絶えず全体像を頭に置きながら、今の説明が全体のどのあたりに相当するかを意識できます。また、この説明がどう続くかを予測しながら聞けるのです。

 一方、いきなりの詳細説明はわかりにくいです。3つめの角の説明でも、それが全行程の1割なのか9割なのかわかりません。この説明が、このあとどのくらい続くかも予想できません。全体が見えないまま、先が見えないまま、細かい話を聴き続けるのはつらいのです。

 しかし、人は、つい詳細から道順を説明します。なぜなら、説明する側の頭には、全体像があるからです。今、自分が全体のどこを説明し、あと何をどのくらい説明しないといけないかは、説明する側は知っているのです。だから、詳細から道順を説明しても、説明する側は何も困りません。

 発信者と受信者は持っている情報が違うのです。しかし、発信者側はそのことを気づかずに説明してしまうのです。最初に全体像やポイントを示すことは大事です。

 なお、この文章では意図的に、最初に全体像やポイントを示していません。その理由は、もちろん、最初の質問の効果的になるようにです。
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電子メールでも先頭には総論を書く
 私は、「文章の先頭でポイントを述べましょう」と指導しています。この考え方は、レポートはもちろん、電子メールでも同じことです。

 たとえば、週報のような電子メールでも、先頭にポイントを簡潔に述べるのです。週報のポイントというと、その週やった仕事の成果や、今抱えている問題点などです。このポイントを15秒ぐらいで読めるようにまとめます。

 週報の先頭にポイントがまとめてあれば、リーダーはそのポイントぐらいは読もうという気持ちが生じます。なにしろ、15秒ぐらいで読めるのですから、部下が10人いても、全部で3分かかりません。時間が許せば、あるいは問題を感じたら、詳細側まで読み進めばいいのです。

 この説明を聞いて、ある会社の研修担当が実行してみたら、上司が週報に返事をくれるようになったそうです。その返事は、簡単な指示や注意の場合もあれば、「困ったら聞きに来てください」というようなものもあるようです。たいしたコメントではないようですが、返事が来るようになったのです。

 おそらく、それまで上司は、週報を読んでいなかったのでしょう。それは無理もありません。詳細な進捗がダラダラ書いてある週報を、それも部下の人数だけ、丁寧に読むほど上司は暇ではありません。詳細ばかりが書いてあるメールは、多くの場合、読まれないのです。

 先頭にポイントを簡潔にまとめることで、読まれていなかったメールが読まれるようになったのです。
最初に概略を述べない人
 昨日、「多くの本で、章や節の最初で概略が述べていない」という趣旨のことを述べた。最初に概略を述べない人の主張は、だいたい以下の二つだ。
 1.後ろを読めばわかることを先に述べる必要はない
 2.先に概略を述べれば、読み手が興味を失う
しかし、違う!

 後ろを読めばわかることを先に述べる必要はある。先に述べてあれば分かりやすいからだ。概略を知ってから詳細を読んだ方が分かりやすい。このことは、道順を説明する際、以下の説明のどちらが分かりやすいかを考えればよい。
 1.市役所までの道順を説明します。市役所はあっちの方向に歩いて10分です。角を3回曲がります。まず、この道をまっすぐ行って、…
 2.市役所までの道順を説明します。まず、この道をまっすぐ行って、…

 後ろを読めばわかることを先に述べる必要は、もう一つある。先に述べてあれば、先を読む価値があるかがわかるからだ。読む価値がない内容であることを、後ろを読めばわかるのでは困るのだ。後ろ読んでから、読む価値がないことがわかる本は、時間泥棒だ。

 先に概略を述べれば、読み手が興味を持つのだ。概略を読んで価値が高いと判断できれば、詳しい内容を知りたくなる。興味深い内容を、概略だけで満足することはない。この代表例が論文だ。論文は最初のアブストラクトで重要な情報を示す。「先に概略を述べれば、読み手が興味を失う」のは、文学のような読んで楽しむ文章だ。
章だけではなく節でも総論で始める
 海保博之著「こうすればわかりやすい表現になる」では、「各章の最初に、章内の節、小見出しの目次を入れ、さらに概要を入れた」と述べている。著者自ら、概略から詳細へと述べた方が分かりやすいと、この本でも述べているからだ。

 しかし、多くの本は、その章の最初で、概略を述べていない。自ら、「概略から詳細へと述べた方が分かりやすい」と述べていても。これでは、自分の主張を、自ら否定しているのに近い。

 章では概略を述べていても、節では述べていないことも多い。海保氏の本もそうだ。章では述べて、節では述べなくてよい理由は書かれていない。主張に一貫性がない。

 節でも概略が書いてある数少ない本の一つが、三島浩著「技術者・学生のためのテクニカルライティング」である。ほぼすべての章と節で、概略から始まっている。

 概略から始まっていても、私から見れば不十分な概略が多い。多くの場合、その章や節のテーマを述べている。読み手が知りたいのはテーマではない。その章や節のポイントだ。なぜ、ポイントを出し惜しみするのか?結局無駄な情報を読まねばならなくなるので、時間の浪費となる。
従来の書き方に引きずると、おかしな文章ができる
 ロジカルライティングの受講者の中には、これまでの書き方を捨てられない人が多い。従来の書き方に引きずったまま、新しい書き方で書こうとすると、おかしな文章ができる。

 私は、ビジネスレポートの先頭に置く総論を、下記のようなパターンを基本として指導する。総論を目的と要約に分けて、要約のパートでは、結論の文の後に、調査結果などの重要な情報を列挙する。パターンを使うのは、何もなしに、「レポートの最初には重要な情報をまとめてください」とだけ言っても書けないからである。まあ、まとめるときの目安だ。

 このパターンで総論を書いてもらうと、パターンから外れる人が出てくる。結論の文の後に、調査結果などの重要な情報を列挙し、さらに何かまとめのようなことを述べる。しかも、そのまとめは、結論の文とは内容が異なっている。つまり、まとめの文が最初と最後の二カ所にあって、しかも内容が違うのだ。

 なぜこのようなパターンから外れる文章になるかというと、従来の書き方に引きずっているからだ。従来は、最後にポイントを述べてきた。だから、重要な情報を列挙したあと、何かまとめのようなことを述べないと気持ちが悪いのだ。最後に結論の文と同じ主旨のことを繰り返すなら、まだ許せる。しかし、多くの人は、結論の文を取って付けたように作り、最後に本当に言いたいことを述べてくる。

 従来の書き方に引きずると、おかしな文章ができる。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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