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Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
09 | 2018/10 | 11
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クリティカルシンキング講座の体験報告(4)
 先日、グ〇ービス社のMBAクリティカルシンキング講座を1時間体験してきた。この講座をクリティカルにシンキングする第四弾(最終回)。

 「枠組みで考える」という項目で、講師は「野球の功走守」を例に挙げたが、「功走守」はMECEではない。「功」と「守」でMECEだ。「功」の中が「打」と「走」に分かれるのだ。有名なフレームワークが、必ずしも上手にMECEになっているとは限らない。

 この講師は、クリティカルにシンキングできない。クリティカルシンキングとは、直訳すれば「批判的思考」だ(危機的思考ではない)。つまり、鵜呑みにせず、疑ってかかれということだ。仮に対象が、大学教授の意見だろうが、名著の誉れ高い書物の内容だろうが、有名なフレームワークだろうが。

 私がクリティカルシンキングに本格的に触れたのは、20年前の下図の書物。この本は、当時ディベートを勉強している人たちの間で、相当話題になった。この後、「実践編」が出るのが待ち遠しかったものだ。まあ、「実践編」は、期待が高かっただけに、ちょっと期待外れではあったが。

 ちなみに、私は(極まれだが)著作にサインを求められたとき、サインと一緒に「本に書いてあることを鵜呑みにするな」と書く時がある。

critical thinkinb

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クリティカルシンキング講座の体験報告(3)
 先日、グ〇ービス社のMBAクリティカルシンキング講座を1時間体験してきた。この講座をクリティカルにシンキングする第三弾。

 第二学習ポイントの「枠組みで考える(フレームワーク思考)」で、「A事業に進出したい。どんな点を押さえるか?」というテーマが出た。グループワークでの討議となる。

 まず、出題がアバウトすぎて、何を討議すればよいのかわからない。フレームワーク思考の勉強だから、メンバーからはいくつかのフレームワークが示された。何を深めてよいかわからない。
 3C(Customer, Company, Competitor)
 4P(Place, Price, Product, Promotion)
 SWOT分析
 人、モノ、金、(情報)

 ここで、講師が「儲かるか?」以外の視点はないかと指摘してきた。つまり、「儲かるか?」とは別の視点でフレームワークを作れということだ。

 私は、以下の3つの視点を示した。この3視点はいいフレームワークと思う。実際、多くの企業の基本方針は、この3つでできている。
1.お客様のため(=会社利益)
2.社会のため
3.従業員のため

 講師の出してきたフレームワークは以下の3つだった。
1.儲かるか?
2.自社ができるか?
3.自社がやるべきか?

 この答えに私はかなり不満だ。なぜなら「儲かるか?」は「自社ができるか?」を完全に含んでいる。この場合、「儲かるか?」の主語は「当社」に決まっている。「儲かる」=「自社ができる」に決まっている。これではフレームワークにならない。

 講師は、フレームワーク思考を正しく理解しているのか?
それとも、私が何か勘違いしているのか?
クリティカルシンキング講座の体験報告(2)
 先日、グ〇ービス社(この伏字じゃあ、どこだかまるわかりだ)のMBAクリティカルシンキング講座を1時間体験してきた。この講座をクリティカルにシンキングする第二弾。

 この体験講座では、次の3つを学んだ(詳細は省略)。
1.分解して考える(モレなくダブりなく=MECE)
2.枠組みで考える(フレームワーク思考)
3.価値ある解釈をする(データに意味ある解釈をつける)

 気になるのは、この3項目がMECEでもなければ、フレームワークで思考されてもいないことだ。これでは、指導する内容が機能しないことを自己証明してしまう。「この3項目を勉強しても、実践では使わないよ」といっているのと同じだ。この3項目が重要なら、なぜこの講座は、この3項目をベースに組み立てられていないのだろう。

 同様のことは、多くの講座やビジネス書で見受けられる。たとえば、私の専門であるライティングでは以下のようなことがよくある。
 ・「ポイントを先に書く」と指導している本のポイントが前に書いていない
 ・「起承転結で書く」と指導している本が起承転結に書かれていない
 ・「例を挙げずに理屈を述べるな」と指導している本が、根拠も事例も挙げず主張している

 では、どう改善すればよいか? 自分なりの改善案を示そう。

 クリティカルシンキングをMECEに定義した上で、各要素ごとに代表例を取り出すのだ。たとえば、クリティカルシンキングは、AとBとCができている状態(このA、B、CがMECE)と定義する。ここで、Aからは代表的な考え方としてaを、Bからはbを、Cからはcを取り出して説明する。a,b,cはMECEになっていないが、おおもとがMECEだから、論理的な説明にはなる。

 より具体的には、私は、論理的であることを、「ロジック構築とロジック論証が正しくなされている状態」と定義している。ロジック構築とは、ロジック構成要素を縦と横で正しく接続することである。ロジック論証とは、ロジック構成要素が十分に論証されていることである。(これ以上の詳細はここでは省略)

 こう定義した上で、定義と指導項目を以下のように関連づける。
・ロジック構築の縦接続 → (今回の講座では学習項目がない)
・ロジック構築の横接続 → MECEやフレームワーク
・ロジック論証 → 価値ある解釈をする

 論理的であることの定義の正誤は別として、このように構成されていれば、論理性が生じる。逆に、このような説明ができないなら、大して重要でもないことを指導している可能性も否定できない。
相関関係=因果関係 ではない
ある講座で、女性の就業率が高いと、一人あたりのGDPが高くなるというデータが示された。講師は、「女性が活躍することが社会の生産性を上げる」ことを匂わせていた。しかし、相関関係すなわち因果関係ではない。

 このケースで、私が疑ったのは因果の逆転だ。一人あたりのGDPが高いから、女性が働ける職場も生まれるのではないか。あるいは、子供を預けて働ける環境も構築できるのではないだろうか。分かりやすい例を挙げよう。例えば貧困国。仕事は少なく、あってもきつい。働くのは男性ばかりで、女性が入る余地は少ない。貧しい国では、子供を預けて働ける環境もない。

 データをより細かく見ると、一人あたりのGDPが高い国は、北欧に多い。北欧の国々の生産性が高いのは、比較的恵まれた国土(地下資源や平野が多い)を少数の国民で維持しているからだ。ネットで検索しても、女性が活躍しているからという論調は見ない。

 そもそも、女性の就業率が高いことが、一人あたりのGDPを高めるなら、男性より女性のほうが生産性が高いことになる。これが、総GDPが高いなら、労働数が多いほど高くなるので、女性の就業率が高いことが有利に働く。しかし、このデータは一人あたりのGDPだ。男性より女性のほうが、明らかに生産性が高いとなると、多くの人の実感とは、ずれるのではないだろうか。

 断わっておくが、私は、「女性は生産性が低い」とか、「女性の就業率を上げることは意味がない」とかを言っているのではない。このデータから、「女性が活躍することが社会の生産性を上げる」とは言えないと言っているのだ。「女性が活躍することが社会の生産性を上げる」と言いたいなら、別のデータを持ってこいと言っているのだ。学者が、いい加減なデータで、証明できないことを匂わせるのはいかがなものかと言っているのだ。

女性の就業率とGDP

「労働時間が長くなると、生産性が下がる」か?
 ちょっと、バタバタしていたので、久しぶりの投稿です。

 働き方改革と言うことで、長時間労働を是正しようという動きがある。この話の中で、因果を取り間違えているのではないかと思う説明を見かける。

 改革推進派は、「労働時間が長くなると、生産性が下がる」と主張する。たとえば、「種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィンや、「19世紀最高の数学の天才」と言われるフランスの数学者アンリ・ポワンカレは、4時間しか働かなかったと。あるいは、週60時間以上働く人は、生産性が低いというデータがあるとか。だから生産性を高めるには労働時間を減らしたり、適度に休息を取ったりすること重要だというわけだ。

 しかし、因果の取り間違え、つまり、「生産性が低いから、労働時間が長くなっている」と言えないだろうか。4時間しか働かなかったから、天才的な成果を残したのではなく、天才だから4時間しか働かなくても成果が出たのではないのか。生産性が低いから、週60時間以上働かねばならにではないのか。労働時間を減らしたり、適度に休息を取ったりすれば、さらに生産性の低下を招かないか。

 断っておくが、「労働時間が長くなると、生産性が下がる」ことを否定しているのではない。示されたデータでは、「労働時間が長くなると、生産性が下がる」ことを論証できないと言うことだ。「労働時間が長くなると、生産性が下がる」ことを論証するには、別のデータを示す必要があると言うことだ。たとえば、ある作業を長時間だらだら続けた場合と、短時間で集中した場合で、短時間でやった方が作業の質や量が優れていることを示すデータだ。

 正直、「労働時間が長くなると、生産性が下がる」に、私は懐疑的だ。長時間労働している人は、仕事が終わらないので長く働いているのだ。短い時間で同じ質の仕事ができるとは思わないだろう。その仕事がきわめてクリエイティブなものであれば、短い時間で高い質の成果を出すこともあるだろう。しかし、そんなクリエティブナ仕事ばかりしている人は、日本にはほとんどいないだろう。

 因果の取り間違えは、結構やりがちな落とし穴だ。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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