Logical Skill の深い話
Logical Skill (特にLogical Writing) について、著書(たとえば、「論理が伝わる世界標準の書く技術」講談社)には書かなかった、より深い話を紹介します。
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「られる」の受身と自発の混同に注意
 日本語の「られる」には4つの意味がある。このうち、自発を受け身と誤解してはいけない。このミス、結構多い。

 「られる」の意味を、goo辞書では、受け身、可能、自発、尊敬の4つと説明している。
---引用---
1 受け身の意を表す。「乗客が次々と助けられた」「花壇の中にごみを捨てられて困った」
2 可能の意を表す。「僕でも組み立てられる模型」「彼が落第するとは、とても考えられなかった」
3 自発の意を表す。自然に…となる。「性格が性格だから将来が案じられる」
4 軽い尊敬の意を表す。「先生が入って来られた」→らる →る →れる
---引用---

 「と考えられる」は自発(上記3)であって、受け身(上記1)ではない。「自然とそう考える」、「そう考えて自然」という意味だ。この混同は多い。文章の書き方を論じた本ですら、「受動態を避ける」という趣旨でこの表現が登場することがある。

 受け身と自発の混同から生まれたのが、"It is considered that"という英語と推測できる。「と考えられる」を受け身と考えて、直訳しているのだ。だから、"It is considered that"と書くのは、ほぼ日本人だけだ。似た表現に”It is said that”(といわれている)があるので、ここから類似表現として生じたのかもしれない。しかし、「といわれている」は自発ではなく受け身だ。

 ちなにみ、「と考えられる」に直接対応する英語はないかもしれない。この表現は、婉曲的で、日本文化的だ。英語なら、"We conclude that"とか、"This results indicate that"とかの直接的な表現が多い。自信がなくて婉曲にしたいなら、助動詞(mayなど)を使う。
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正しい日本語で書くためのツール
 テクニカル・ライティングの基本は、3つのCと言われます。3Cとは、Correct, Clear, Concise。
  Correct: 文法的に正しい文
  Clear:  誰が読んでも同じ理解の文
  Concise: 簡潔な表現の文

 このうち、Correctについては、ある程度、ソフトウェアでチェック可能です。私は、次の2つを活用しています。
  1.日本語変換ソフトのATOKの『共同通信社 記者ハンドブック辞書』オプション
  2.文章校正支援ソフトのJust Right!

日本語変換ソフトのATOKの『共同通信社 記者ハンドブック辞書』オプション
 『共同通信社 記者ハンドブック辞書』は、共同通信社内部の表記ルールをまとめています。たとえば、平仮名と漢字のどちらで書くべき単語かとか、正確なカタカナ表記などです。本来は、共同通信社のローカルルールでしたが、今では出版界のデファクトスタンダードになっています。この辞書は、日本語変換ソフトのATOK用のオプション辞書として購入できます。これがあると、変換するときに、問題点を指摘してくれます(下図)。
handbook.jpg

文章校正支援ソフトのJust Right!
 このソフトは、誤字・誤用、不適切な表現や、表記ゆれなどをチェックしてくれます。書いた後にチェックするソフトです。まあ、MS-Wordにデフォルトで付属する文書チェック機能の高度版という感じ。便利だけど、ちょっと高価。


プロフィール

ロジカルスキル研究所代表

Author:ロジカルスキル研究所代表
ロジカルスキルを企業研修で指導しています。主な講座は、ロジカルライティング、ロジカルネゴシエーション、ディベート、ロジカルプレゼンテーション、英文テクニカルライティングです。

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